――手術の後にすごく落ち込む方も多いと聞きますが? 私の場合は、小さいなりに大切な胸がちょっとへこんで悲しいなと思って...。実は、左側は切除した断面に何もなかったけど、右側はまだ端にがん細胞が残った「断面陽性」だったので、もう一度手術したんです。 一度目手術の時、鏡で見たら手術の痕が引きつれて下がって、おっぱいがまるで"タレ目"のようになっていました。先生に「傷はどう?」と聞かれて、私はもちろん命の方が大事だから文句のつもりなんかじゃなく「大丈夫です。きれいにくっついて。ちょっと"タレ目"になったけど」なんて言ったら、先生は「ふ~ん」。その後、二度目の手術を終えて鏡を見たら、"タレ目"が直っていたんですよ。「先生、"タレ目"直しました?」って聞いたら、「"タレ目"になったって文句言われたから」「えー、文句なんて言ってないですよ~」って(笑)。 でもね、それで一つ思いました。もちろん病気を治すこと、命が助かることが一番大事なんだけど、同時にその病気が治った後の生活もすごく考えた上で治療する時代なんだということを。「治りゃいいでしょ」ではなくて、治った後も自信を持って生きていく、楽しく生きていくことができるようにしてくれているんです。メスを入れた3~4センチの傷も、何気なく言った「タレ目になった」って言葉も、先生は気にしてくれたんだと気づきました。 先生は「僕は男性だから、女性のこと、女性がどう感じるかってことの根本はやっぱり分からない。だから、患者さん自身がどう感じたかってことがやっぱり第一なんだ」って言っていました。