生薬が配合された漢方薬には「体に優しく安全」というイメージを持つ人が多い。しかし、生薬にも副作用はある。特に近年、山梔子(サンシシ)という生薬が含まれた漢方薬を飲んでいた人が「腸間膜静脈硬化症」を発症したという報告が相次いでいる。腸間膜静脈硬化症は、大腸や小腸といった腸管から肝臓に流れる「腸間膜静脈」と呼ばれる血管にカルシウムがたまり(石灰化)、腸管の一部で血流が止まってしまう病気だ。2年前(2014年)に生薬が含まれる漢方薬のネット販売が可能になったが、諏訪中央病院(長野県)東洋医学科の永田豊医長らが調べたところ、ネットで販売されている山梔子が配合された薬は341種類もあることが分かったという。同医長はこの調査結果を6月3~5日に高松市で開かれた日本東洋医学会の会合で報告し、「ネット購入した山梔子を配合する漢方薬による腸間膜静脈硬化症のリスクに注意してほしい」と呼びかけた。