糖尿病との付き合い方―コロナ下の血糖管理

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© Adobe Stock ※画像はイメージです

 新型コロナウイルスの国内初感染例が確認されてから3年。基礎疾患として糖尿病があるとコロナが重症化しやすいことが分かってきた。長引くコロナ下で、糖尿病にどのように向き合えばよいのか、東京慈恵会医科大学付属病院(東京都港区)糖尿病・代謝・内分泌内科の西村理明主任教授に話を聞いた。

▽飲み会が減り血糖改善

 西村主任教授は、コロナ下での糖尿病患者の血糖管理状況は、コロナ前と比べて「改善」「悪化」「不変」がそれぞれ3分の1とみている。これらのどこに該当するかは、もともとの生活環境や治療意欲に関係する。

 例えば、仕事関係の飲み会がなくなり、体重が落ちて血糖管理も好転するケースだ。以前から食事療法や運動療法に取り組む意欲はあるものの、どうしても時間が取れなかった患者が、在宅勤務で余裕が生まれ、運動などに取り組んで血糖値が改善することもある。

 反対に、通勤がなくなって運動不足になったり、コロナを怖がるあまり家に閉じこもりがちになったりすると、ストレスを解消しようと間食が増え、体重も増えて血糖管理が悪化する。「患者ごとに問題点が異なるので、それぞれの解決につながるアドバイスをしています」

コロナ下では運動量が減り体重が増え、糖尿病が悪化

▽糖尿病診療が進歩

 一方、この3年間に糖尿病診療は進歩した。例えば、血糖値を下げるとともに食欲を抑える新たな飲み薬が発売された。「いくら努力しても食事量を管理できない人の食欲を抑えることができます」

 もう一つは遠隔診療の拡充だ。一般的なオンライン診療の普及に加え、採血せずに血糖値の変化を連続的に測定、記録する検査の対象患者が広がった。皮膚に貼る「パッチ式センサー」と、手のひら大の専用読み取り装置による「間欠スキャン式持続血糖測定」などがあり、コロナ前から実施できたが、2022年度に保険診療の対象が拡大された。

 測定データは、患者の同意を得れば医療機関のパソコンで閲覧できる。「患者の来院がなくても、対面診療と同様に病状を把握できます。患者側も、医師が遠隔で診てくれていると思い、安心感があるようです」

 「『ウィズコロナ』は当分続くかもしれません。コロナとも糖尿病とも、うまく付き合いましょう」と西村主任教授はアドバイスしている。

(メディカルトリビューン=時事)

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 東京慈恵会医科大学付属病院の所在地 〒105―8471 東京都港区西新橋3の19の18 電話03(3433)1111(大代表)

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