皮膚に赤み、筋肉に痛み―肺炎合併も―皮膚筋炎

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 昨年12月に亡くなった歌手の八代亜紀さんは皮膚筋炎に罹患(りかん)していた。筋肉の炎症によって痛みや筋力の低下が生じる病気で、八代さんのように肺の合併症で命を落とすこともある。福岡赤十字病院(福岡市南区)膠原(こうげん)病内科の井上靖部長に原因や治療について聞いた。

▽免疫の異常で

 皮膚筋炎は、免疫の異常が原因で全身の複数の臓器が侵される膠原病の一つ。免疫異常を起こしやすい体質にウイルス感染などの要因が加わり、免疫が自分の臓器を攻撃するようになる。

 厚生労働省によると、国内の患者数は推計2万5000人(2021年度)。4人に1人は60歳以上で発症しており、女性が男性の3倍に上る。

 皮膚には▽まぶたが赤く腫れる▽手指や肘が赤く、がさがさになる▽爪の周囲が赤くなる―といった症状が表れる。筋力の低下で、洗濯物を干すことや髪をドライヤーで乾かすことがつらくなったり、食事を飲み込みにくくなったりする。疲労、倦怠(けんたい)感、食欲不振などもある。「これらの症状が全ての患者に同じように表れるのではなく、筋肉か皮膚いずれかに強く出たり、皮膚だけだったりと個人差があります」

 肺炎の一種である間質性肺炎を合併しやすい。肺の奥にある袋状の肺胞(はいほう)の壁に当たる間質が炎症の繰り返しで硬くなり、肺を十分に膨らませることができず、呼吸がしにくくなる。「呼吸困難が急速に進行し、数週間から数カ月で命に危険が及ぶこともあります」

▽ステロイドと免疫抑制剤組み合わせ

 治療には、免疫反応や炎症を抑えるステロイド剤と他の免疫抑制剤を組み合わせる。長く続けることで、筋肉や皮膚の症状をコントロールできるという。

 急速進行型の間質性肺炎を発症した場合は、「すぐ入院し、ステロイド剤と2種類の免疫抑制剤を組み合わせた強力な治療を始めます」。

 効果が見られないケースもあるが、井上部長は「間質性肺炎を合併した人の最適な初期治療に関する研究は進んでいます。治療成績のさらなる改善が見込まれています」と語る。(メディカルトリビューン=時事)

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 福岡赤十字病院の所在地 〒815―8555 福岡市南区大楠3の1の1 電話092(521)1211(代表)

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