チャタテムシ混入食品でアナフィラキシー―日本で初報告

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 微小なチャタテムシの仲間「ヒラタチャタテムシ」が混入した食品を食べてアナフィラキシー(全身性の急激なアレルギー反応)が起きたと、東邦大学医療センター大橋病院(東京都目黒区)皮膚科の福田英嗣准教授、松本千夏助教らが発表した。

▽食後30分で突然発症

 ヒラタチャタテムシによるアナフィラキシーの報告は日本では初めて。世界でも3例目という。

 福田准教授によると、患者は2021年、自宅で夕食の約30分後に突然、全身の紅斑(こうはん)、水のような下痢、嘔吐(おうと)を起こした。脈拍が増え、唇が紫色になったため、同病院で重度のアナフィラキシーと診断された。

 松本助教らが、患者が食べた食品でアレルギー検査を行うと、オートミールで陽性反応が出た。さらに、経口摂取したオートミール中にヒラタチャタテムシの抗原(異物)を検出し、血液検査で、ヒラタチャタテムシに対する特異的な抗体(異物が侵入したときに攻撃するタンパク質)が検出されたため、混入したヒラタチャタテムシを食べてアナフィラキシーが発症したと結論付けた。

▽食材は密閉、冷蔵庫に

 褐色のヒラタチャタテムシは体長1ミリ程度で、室内に生息する。「湿気の高い場所を好み、小麦粉などの食材、食品の容器に入り込むこともあります」

 室内のほこりからも高い確率で検出され、飛散した死骸を吸い込むとアレルギー性ぜんそくを起こす可能性がある。日本のアレルギー性ぜんそく患者の約4割がヒラタチャタテムシに陽性反応を示したという。

 既に報告されている海外の2例でも、今回と同様にオートミールに混入していたため、「オートミール症候群」と命名した。「ただし、オートミール自体が悪いわけではありません」(福田准教授)。

 福田准教授は「これまで原因不明とされたアナフィラキシー患者の中に、ヒラタチャタテムシを食べたことによるアナフィラキシーが含まれる可能性がある」と指摘する。

 家庭での対策としては、「室内の換気、布団の天日干しなどを定期的に行いましょう。ヒラタチャタテムシは低温、低湿度で生存できないので、食材や食品は密閉容器に入れ、冷蔵庫で保存してください」(松本助教)と呼び掛ける。(メディカルトリビューン=時事)

   ◇   ◇

 東邦大学医療センター大橋病院の所在地 〒153―8515東京都目黒区大橋2の22の36電話03(3468)1251(代表)

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