突然の尿意、高齢が要因―行動療法と薬で治療を

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 突然襲ってくる尿意(尿意切迫感)は高齢者によく見られる症状で、20歳以上で約1250万人の患者がいるとされる。亀田総合病院(千葉県鴨川市)ウロギネ・女性排尿機能センターの野村昌良医師は治療法として、行動療法と薬の服用を挙げる。

▽主因は高齢化と肥満

 ぼうこうは、尿意を感じると縮んで排尿する仕組みになっている。脳からの指令で制御されているが、この働きがうまくいかなくなると勝手に収縮し、急にトイレに行きたくなって尿漏れ(切迫性尿失禁)を起こすこともある。この状態を「過活動ぼうこう」という。

 「ほとんどは加齢と肥満が原因」と野村医師。高齢になると、ぼうこうの機能が衰えたり、骨盤底筋が緩んで腹圧がぼうこうにかかったりして、突然尿意をもよおす。男性は前立腺肥大症、女性は子宮脱などの骨盤臓器脱も尿意切迫感の原因となる。

 肥満の場合、内臓脂肪がぼうこうを圧迫することで同様の症状が起こる。冷たい物に触れたときや、水の音を聞いたときに強い尿意を感じることも。

 過活動ぼうこうの患者は男女ほぼ同数だが、「女性の場合は外出先でトイレが少なく、待ち時間も長い。このため、外出を避けたり、付き合いを制限したりと社会生活に支障が出ることもあります」

 過活動ぼうこうは、頻尿(昼に8回以上)や夜間頻尿(夜間に1回以上)を伴うこともある。ただし、夜間頻尿でもトイレに起きた後、ベッドに戻ってすぐに眠れるようであれば問題ないという。

▽生活改善で治療も

 治療には行動療法(生活改善)と薬の服用を併用する。

 行動療法には▽水分の調整 暑い時期以外は、喉が渇いたときに飲む▽食べ物の制限 生野菜や果物は水分が多いので、少なめに。塩分の取り過ぎは喉が渇くので注意する▽冷え対策 おなかや背中を温め、厚手の靴下をはく。温かい飲み物を飲む▽トイレに行くタイミング 尿意があっても我慢する訓練をする―などがある。

 薬には、ぼうこうの過敏性をなくしたり、ぼうこうが伸びたりする作用があり、3~6カ月服用する。効果が出ない場合は、ぼうこうを緩める薬をぼうこう壁に直接注射するボツリヌス療法もある。

 過活動ぼうこうについて、野村医師は「命に関わらない病気ですが、生活に支障を感じたら、ちゅうちょせずに専門医を受診してください」と助言する。(メディカルトリビューン=時事)

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 亀田総合病院の所在地 〒296―0041 千葉県鴨川市東町929 電話 04(7092)2211(代表)

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