心身や社会的幸福度を指す「ウェルビーイング」。コロナ禍を経て、高所得層ではこの指標が向上し、その要因が在宅勤務の普及によるものだったと、慶応大の研究グループが発表した。 研究グループは、全国の成人約4000人を対象に、コロナ禍前(2020年)、コロナ禍1年目(21年)、2年目(22年)の所得格差やウェルビーイング格差の動向、両者の関連性を調べ、働き方の変化(在宅勤務の普及)によるウェルビーイング格差への影響を分析した。 その結果、所得格差の拡大は見られなかった。一方、ウェルビーイングに関する指標は低所得層で悪化、ウェルビーイングが向上した高所得層との格差が広がった。 働き方の変化との関連を分析したところ、コロナ禍を契機に高所得層に普及した在宅勤務がウェルビーイング向上に影響したことが示された。研究グループは「給付金による格差対策だけでなく、在宅勤務の実施向上などが今後の社会政策に重要だ」と指摘している。(メディカルトリビューン=時事)