年間通して感染症対策をー喉の保湿が鍵

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感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

 今冬は、マイコプラズマ肺炎やインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症が同時流行した。その後もRSウイルス感染症、百日ぜきなどが流行の兆しを見せるなど、例年にはない動きが続いた。池袋大谷クリニック(東京都豊島区)の大谷義夫院長は「常に何らかの感染症が流行している現代では、年間を通した対策が必要です」と話す。

▽線毛の乾燥を防ぐ

 感染症は、空気中のウイルスや細菌が鼻や口から気道に侵入して引き起こされる。病原菌が侵入しても、通常は気道の細胞「線毛」に絡め取られ、せきとともに体外に排出される。しかし喉が乾燥していると、線毛の働きが低下してしまう。

 「感染予防には線毛が潤っていることが重要です。花粉症も同様に、線毛が正常に働くことで花粉を外に排出してくれます」。季節を問わず、喉を乾燥させない対策が大切だ。

 夏場、エアコンが稼働する室内も想像以上に乾燥している。風邪は上気道(鼻から喉まで)の感染症だが、より深い下気道(気管か気管支など)に病原菌が入り込むと、肺炎を生じたり、せきぜんそくを発症したりする契機になる場合もある。

 「重症化を防ぐためにも、電車の中やデパートなど、人が多い場所に出掛ける際は、マスクを着用し、小まめな水分補給を心掛けましょう」

▽喉あめで唾液を分泌

 水分補給のタイミングは、「喉が渇いた」と感じた時では遅い。既に体の水分が不足して、軽度の脱水状態にある。暑くなる今後は、小まめな水分補給が熱中症対策としても有効だ。

 また、「水分補給に加え、喉あめを活用するのも効果的。唾液の分泌を促し、線毛の働きを活発にして、異物の排出機能を高める効果が期待できます」。

 電車内や映画館、コンサート会場など、静かな環境下でのせきエチケットとしても、喉あめは手軽で使いやすい。糖分や虫歯が気になる人は、ノンシュガータイプを選ぶとよい。

 取り入れたいのが口腔(こうくう)ケアだ。「口の中を清潔に保ち、乾燥を防ぐことはウイルス対策にもなります。特に高齢者はケアを心掛けましょう」と大谷院長は助言する。(メディカルトリビューン=時事)

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