がんのアピアランスケアー男性患者のニーズ高く

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 がんやがん治療の影響で外見が変わると治療への意欲が低下したり、人との関わりを避けたくなったりするなど、社会生活に支障が生じる場合がある。外見(アピアランス)の悩みに対処するアピアランスケアへの関心が男性患者の間でも高まっている。

 国立がん研究センター中央病院(東京都中央区)アピアランス支援センターの藤間勝子センター長(臨床心理士・公認心理師)は「気になる外見の悩みは専門家に相談を」と呼び掛けている。

▽支持療法の一つ

 がん治療の発展で、就労しながら治療に取り組む人が増えている。その半面、副作用も多様化し、社会生活を維持する上で、見た目に関する意識も高まっている。

 男性がん患者の約60%が、外見は男性の仕事の評価に影響を与えると考えているとの調査結果もある。藤間センター長によると、年間約3000人が同センターを利用し、そのうち男性は2割弱だが、近年増加している。

 がん治療による外見の変化はさまざまだが、藤間センター長は「例えば、頭髪や眉の脱毛、顔や体の皮疹、頭頸(とうけい)部に残る手術の跡があります。話し相手に不快感を与えるのではという悩みは多いです。その他、手指の皮膚の色や爪の形が変わって名刺の受け渡しを気にする人もいます」と話す。

 アピアランスケアは、がん治療で生じる副作用の予防や症状の軽減を目的に行う支持療法の一つ。治療を続けながらその人らしい生活が送れるように、ウィッグ(かつら)の相談や、男性でも簡単に行える眉の描き方、気の持ちようや復職のための助言など支援の幅は広い。

▽気持ちを前向きに

 同病院では治療開始時に主治医、看護師から予想される外見の変化について説明があり、同センターを紹介されるケースが多い。同センターは同病院1階ロビーにあることから気軽に立ち寄る患者もいるという。

 「外見が変わった現実を受け入れることは容易ではありませんが、気持ちとの折り合いをつけることが重要です。外見の悩みにも解決策があることを知り、自分で対処できるようになれば、気持ちが前向きになることが多いです」と藤間センター長。「気になることがあれば、かかりつけの医師、看護師に相談するか、各都道府県にあるがん診療連携拠点病院などのがん相談支援センターに問い合わせることをお勧めします。当センターのサイトからダウンロードできる男性向けアピアランスケアガイドブックも活用してください」とアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)

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 国立がん研究センター中央病院の所在地 〒104―0045 東京都中央区築地5の1の1 電話03(3542)2511(代)

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