糖尿病予備軍も要注意ー夜間低血糖

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 近年、糖尿病患者における夜間低血糖が注目されるようになったが、糖尿病の診断や治療を受けていない人の中にも特徴的な症状を呈するケースがあるという。独協医科大病院(栃木県壬生町)病院長で内分泌代謝内科の麻生好正教授は「いわゆる糖尿病予備軍の人も夜遅い食事に伴う夜間低血糖を起こしていることがあります」と注意を呼び掛けている。

▽寝汗や起床時の頭痛

 一般に、睡眠中の午前0~6時の間に血糖値を下げる働きを持つインスリンが過剰に分泌され、血糖値が1デシリットル当たり70ミリグラム以下になる状態を、夜間低血糖と呼ぶ。「ただし血糖値にかかわらず、手足の震え、めまい、寝汗、悪夢、起床時の倦怠(けんたい)感や頭痛などが表れていると、注意が必要です」

 悪夢にうなされたり、突然起き出して攻撃的になったりすることで家族が気付くケースもあるが、睡眠中は自覚症状がないため見過ごされる場合も少なくない。

 糖尿病患者の場合、夜間低血糖を引き起こす要因として▽治療用のインスリン製剤を適正量より多く使用▽高齢でインスリン製剤や経口糖尿病治療薬が効き過ぎる▽食事量が通常より少ないにもかかわらずインスリン製剤の量を減らしていない▽アルコール摂取量が多い▽運動量が普段より多い―などが考えられるという。

 「当院には年間20人ほどの糖尿病患者さんが重症夜間低血糖で救急搬送されますが、いずれも70~80歳代の高齢者です」。血糖値が1デシリットル当たり50ミリグラム以下の重症低血糖は、「6時間以上放置すると脳機能障害を引き起こし、最悪の場合は命に危険が及びます」。

▽専門医に相談を

 糖尿病の治療を定期的に受けている患者には、24時間血糖値を測定する機器を身に着けている人が増えており、夜間低血糖があれば見つかる可能性が高い。一方、「糖尿病予備軍と称される、血糖値が『境界型糖尿病』に該当する人は食後、過剰にインスリンが分泌される場合が多く、夜間に限らず低血糖リスクは高いと言えます」。夜間に低血糖を起こす場合、別の病気が潜んでいる可能性もある。

 気になる症状があれば、内分泌代謝内科に相談を。「症状から考えて脳神経内科を受診し、血糖値を測ったところ、低血糖が疑われて当科に紹介されるケースも少なくありません。夜間低血糖の可能性を念頭において、専門医の下で検査を受けることをお勧めします」と麻生教授はアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)

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 独協医科大病院の所在地 〒321―0293 栃木県壬生町北小林880 電話0282(86)1111(代表)

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