胃潰瘍や逆流性食道炎などの治療で胃酸の分泌を強力に抑える「プロトンポンプ阻害剤」(PPI)は、カルシウムの吸収を阻害することなどから、長期使用が骨密度の低下を招く可能性も考えられる。しかし、骨折リスクに関する複数の研究結果は一致していない。米マサチューセッツ総合病院のHamed Khalili氏らは、米国の女性看護師を対象にした研究のデータを分析し、閉経後女性がPPIを2年以上使用した場合、大腿(だいたい)骨近位部(股関節に接する部分)の骨折リスクが35%上昇していたと、1月31日発行の英医学誌「BMJ」(2012; 344: e372)に発表した。食事や生活習慣の関与を調べたところ、喫煙歴の有無でリスクが大きく異なることも分かったという。