世界人口の4分の1~3分の1が感染しているといわれるトキソプラズマだが、免疫に異常のない健康な人の場合、感染しても特に重大な症状が現れることなく慢性感染に移行することが知られている。しかし、この慢性感染期に感染者の行動や人格に変化が起きるという研究結果が数多く報告されている。スウェーデン・カロリンスカ研究所のAntonio Barragan氏らは、PLoS Pathog(2012; 8: e1003051)に掲載された報告の中で、トキソプラズマが神経伝達物質であるγ(ガンマ)-アミノ酪酸(GABA)を介して、脳に進入するメカニズムを明らかにした。この同じメカニズムが、トキソプラズマによる脳の"乗っ取り"にも関与している可能性があるという。