抗がん薬や放射線治療により,骨髄の造血機能はダメージを受けます。胃切除後の食事摂取不良による鉄欠乏やビタミンB12・葉酸の欠乏は,赤血球が減少して貧血を起こしやすくします。今回は貧血を認める方の食事について述べましょう。 まず,全身の栄養状態を改善するために,エネルギー,蛋白質,ビタミン,ミネラルなどを十分取るようにします。 (1)鉄分を多く含む食品を積極的にメニューに取り入れる:レバーは貧血の特効薬といわれますが,食べやすいように香辛料や調味料の使い方を工夫しましょう。また,魚(カキ,アサリ,カツオ,サバなど)や肉(牛ヒレ肉,豚モモ肉,鶏モモ肉,レバーなど)には,吸収の良いヘム鉄が含まれているので動物性食品から取るようにします。植物性食品では,ヒジキ,納豆,コマツナ,ホウレンソウ,切り干しダイコンなどに鉄分が多く含まれます。 (2)鉄分の吸収率を良くするビタミンCを取る:ビタミンCは非ヘム鉄を吸収されやすい二価の鉄に換える働きがあります。ブロッコリー,カボチャ,コマツナ,ホウレンソウ,かんきつ類,イチゴ,メロン,柿,キウイフルーツなどに多く含まれます。 (3)造血作用を促進する栄養素を取り入れる:ビタミンB2,ビタミンB6,ビタミンB12,葉酸,銅などは貯蔵鉄の動員作用があるので,これらも積極的に取るようにしましょう。 (4)食欲をアップさせる工夫をする:食欲がないときは,酸味(酢,レモン,ダイダイ,ユズ,すだちなど)を利用したり,量を感じさせないテクニックとして,皿数を多くして1つのお皿にこぢんまりと盛り込んだりします。また,どれも生ぬるいものでは食欲がわきません。温かくした方がおいしいものは温かく,冷たさが生きるものは直前まで冷やして,料理の温度にめりはりをつけましょう。テーブルクロスを明るい色(オレンジ系やクリーム色)にするとか,食器と料理の色の調和などを考慮することも食欲アップに効果があります。