うっ血性心不全とは,心臓が身体の代謝に必要な血液の拍出を維持できない状態をいいます。うっ血性心不全の食事療法のポイントは,心臓の予備力が低下しているので,心臓の負担を軽減することにあり,体液量の増加,腎機能の障害,血管抵抗の増大を防ぐことにあります。以下のことに留意しましょう。 (1)エネルギー:標準体重を維持します。また同症は,摂取量が減少し,かつエネルギー消費が亢進している場合が多いので,必要エネルギーの摂取について工夫します。重症の心不全では,摂取カロリーを1日1,000~1,200kcal程度にとどめ,回復するに従って徐々にエネルギー量を増やします。 (2)蛋白質:低蛋白血症,低アルブミン血症を起こすことが多く,浮腫が増加しやすくなります。アミノ酸バランスの良い蛋白質を取るようにします。また蛋白量1~1.2g/標準体重kg/日とし,不足しないように注意します。 (3)ナトリウム:心拍出量が低下するため,腎臓の循環血液量も減少します。ナトリウムの過剰摂取は,循環血液量を増加させ,全身の浮腫を引き起こすため,同症の食事療法では,食塩の制限を最も最優先し,ケアしましょう。 (4)水分:水分は食塩制限と連動しています。強い食塩制限が必要な場合は,水分の摂取も制限されます。重症の心不全の場合は,前日の尿量に相当するだけの飲料水が許可されます。水分出納が保たれることが大切になります。 (5)カリウム:利尿薬の使用などや排泄機能のアンバランスから低カリウム血症を起こすことがあります。血液データを観察して対応しましょう。