菜の花の白あえ

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感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

 今回は,鉄欠乏性貧血の人のための献立作成および調理上の留意点についてです。

 まず,高エネルギー,高蛋白質食を基本として,全身の栄養が高められるようにします。料理の色彩や量に注意して,食欲不振を防ぎ,喫食率を高めるようにしましょう。

 また,鉄の含有量および吸収率の高い食品を有効に取れるように,レバー料理などのレパートリーを増やしましょう。レバーは貧血の特効薬ともいわれますが,食べにくい食品でもあります。調理に際しては,薄皮を取り除く,水にさらして血抜きをする,牛乳に漬けて臭みを消すなどの下処理をします。カレー粉,唐辛子,ショウガ,からし,ニンニク,ネギ,日本酒,ワイン,オイスターソースなどの香辛料や調味料の使い方も工夫しましょう。レバーが嫌いな場合は,ひき肉料理に混合利用するとよいでしょう。

 さらに,新鮮な野菜や果物を上手に組み合わせて,ビタミン,ミネラル,食物繊維を摂取することにより,鉄欠乏性貧血で起こりやすい便秘を解消することができます。ヒジキや切り干しダイコン,凍り豆腐などの乾物類は若年者にはあまり好まれない食品ですが,サラダや揚げ物などにアレンジし,好まれそうな料理を工夫します。鉄製の調理器具を使用することも有用です。防錆加工していない鉄製の鍋やフライパンで調理すると,溶出する鉄は二価鉄のために吸収が良くなります。微量ですが鉄の補給になります。

 鉄の吸収を阻害する因子としては,(1)タンニン酸:お茶やコーヒーなど。三価鉄と結合して不溶性の化合物をつくり,鉄の吸収が悪くなる(2)フィチン酸:穀類,豆類の外皮にあり,鉄と結合して不溶性になる(3)食物繊維:鉄,銅,カルシウム,マグネシウムなどと結合して吸収を妨げる(取り過ぎには注意する)(4)加工食品に含まれるリン酸塩など:消化器内で鉄と結合して吸収を悪くする(5)アルコールの飲み過ぎ(適量を守りましょう)--などが挙げられます。

 そのほか,食事で十分な量の鉄が摂取困難な場合は,鉄補強食品(加工乳,ヘム鉄飲料,鉄ゼリー,鉄クッキー,サプリメントほか)などの栄養補助食品を上手に利用しましょう。

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