前回は骨粗鬆症に関する主な栄養素を列記しましたが,このほかにリン,マグネシウム,必須アミノ酸,乳糖,脂質,エネルギー摂取,ビタミンCなどが直接または間接的に深くかかわっています。 骨粗鬆症の食事のポイントは,不足しがちなカルシウムや各種栄養素のバランスの取れた食品で,調理法を工夫して献立づくりをすることです。カルシウムやビタミンD,ビタミンKをそれぞれ多く含む食品を1日3食の中に上手に取り入れるようにします。 牛乳はカルシウム供給源として,また吸収率にも優れた食品です。牛乳コップ1杯(200g)の中に220mgのカルシウムが含まれています。日常の食生活の中で牛乳・乳製品を摂取しないで600mg以上取ることは困難です。しかし,中高年層は長年の食習慣,牛乳嫌い,または乳糖不耐症などで摂取する頻度が少なくなっています。1日コップ1杯は飲む習慣を心がけるようにしましょう。 小魚もカルシウム源になるので「ふりかけ」を常備する,イワシの団子汁のようなすり身として利用するなど,食材と調理法を工夫して,おいしく楽しく食事を取ることが大切になります。そのほか,大豆に含まれるイソフラボンは骨量維持に効果的に働きます。大豆製品は高齢者に広く好まれる食品なので献立に積極的に利用しましょう。 また最近は発育期(初潮を迎える11歳ごろ)において,過度のやせ願望によるエネルギー摂取不足や,偏食によるカルシウムや他の栄養素不足が見られ,危惧されています。発育期の骨形成時期にカルシウムやビタミンDの多い食品,かつ各栄養素を充足した食事を規則正しく取ることが将来の骨粗鬆症予防のために大切になります。