胃腸疾患の種類はいろいろありますが,今回から,胃炎,胃・十二指腸潰瘍,下痢,便秘,術後の食事の取り方を述べましょう。今回は胃炎について紹介します。 急性胃炎は,暴飲,暴食,寄生虫,食中毒,ストレス,アレルギーなどによって急激に胃粘膜に炎症を起こします。発病してから1~2日は絶食します。急性期の症状が軽快したら流動食から3分がゆ食,5分がゆ食,全がゆ食,軟飯と1週間程度かけて普通食に近づけていきます。胃への負担を軽くするために食事回数を分割し,消化吸収の良い食品を取り,ゆっくりよくかんで咀嚼するようにします。また胃粘膜を刺激しやすい香辛料やカフェイン飲料,アルコール飲料は控えましょう。 慢性胃炎は,病態によって食事方針が異なります。 萎縮性胃炎では胃酸の分泌が低下した低(無)酸症の場合は,少量の香辛料や低濃度のアルコール飲料を使い,適度の刺激を与えて胃酸の分泌を促します。蛋白質の消化が低下しているため,消化の良い食品を選んで,良質の蛋白質が取れるように心掛けます。脂質は胃内停滞時間が長く,胃に負担が掛かるため,良質の乳化脂肪(バター,マヨネーズなど)を少量使用します。長期治療になるため,献立に変化をつけるようにして,規則正しい食生活をし,特に食事時間は一定にしましょう。 肥厚性胃炎では,胃粘膜が肥厚して胃酸の分泌が亢進している過酸症の場合は,胃液の分泌を抑制するために香辛料,アルコール飲料,酸味の強いもの,カフェイン含有飲料などは避けます。空腹時は胃酸が粘膜に刺激を与えるので長時間の空腹は避けるようにしましょう。