鼻水やくしゃみ、目や皮膚のかゆみ、せきなどのアレルギー症状の約6割はダニが原因だという。獣医師の高岡正敏さんは「特に、子どもの気管支ぜんそくの多くはダニに起因します」と話す。 ▽住環境の変化で急増 ダニの種類は約5万種。住居特有のものは約50種類とされる。その中で「ダニアレルギーの原因になる重要なダニはチリダニ(別名ヒョウヒダニ)で、人の表皮から落ちたあかやフケを餌にしています」。 チリダニは布団やベッド、枕などに多く生息し、家庭によっては古い布団の中から30万~100万匹も検出される。じゅうたん、畳や布製のソファ、ぬいぐるみなどにも多い。 「チリダニは人を刺しませんが、チリダニなどを餌とするツメダニは高温多湿の時期になると増え、人を刺して体液を吸い、赤い発疹やかゆみが表れます。ツメダニ対策は、チリダニを増やさないことが鍵となります」 外気が通りやすくて寒く、乾燥していた昔の日本家屋と異なり、現代の住環境は高気密、高断熱で冬でも暖かく、加湿すれば高湿度になる。 チリダニは梅雨時期から夏にかけて繁殖し、寒くなると死滅するが、アレルギーの原因となる死骸やふんは大量に残り、砕けて飛散するため、アレルギー症状は起きる。ダニアレルギーが通年性といわれるゆえんだ。 ▽ごみが増えるとダニも ダニは50度以上の温度で20~30分加熱すると死ぬので、温風循環式のマットなども有効。ただ、死骸やふんは残るので、掃除機で吸引する。 「ダニ対策はごみを出さないこと」と高岡さん。こまめに掃除をし、ダニの死骸などを含むほこりを残さない。ダニが多く潜む布団や枕、じゅうたんなどは裏表とも掃除機をかける。衣類もダニのすみかになるので詰め込まず、風通しをよくする。着ない衣類は処分するか、大きなポリ袋に乾燥剤を入れて密閉保管するとよい。 洗剤には界面活性剤が含まれるため、死骸などを除きやすいが、生きたダニへの効果は低い。洗った衣類を1度着たものの隣に保管すると、すぐにダニが寄ってくるので注意する。「繁殖しやすい場所や物を知り、掃除を徹底することでダニを減らすことはできます」と高岡さんは助言する。(メディカルトリビューン=時事)