季節の変わり目に注意ー寒暖差疲労

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 近年、少しずつ知られてきた「寒暖差疲労」。正式な病名ではないものの、季節の変わり目などの気温差に体が追い付かず、心身の不調を訴える人が多い。専門外来を持つせたがや内科・神経内科クリニック(東京都世田谷区)の久手堅司院長に話を聞いた。

▽寒暖差7度以上が目安

 人体は外気温や室温の変化に対応するため、体温を一定に保とうと自律神経を働かせる。それにより血液量を調節したり、筋肉で熱を生み出したり、発汗して体温を下げたりする。

 「このような体温調節のためにエネルギーを消耗し、疲労がたまるのが寒暖差疲労の原因と考えられます」と久手堅院長。

 目安は1日の最低気温と最高気温の差が7度以上。それ以外にも、前日比または過去1週間での気温差、冷暖房の利いた室内と屋外の急激な温度差などにさらされると症状が出やすい。

 代表的な症状は倦怠(けんたい)感で、「患者さんの8割が訴えます」。その他、冷えやのぼせ、頭痛やめまい、関節痛といった身体の不調、抑うつや不安といった精神面の不調を訴えるケースも。

 「もともと頭痛やめまいを持っていたり、うつ病などの精神疾患があったりして症状が悪化する患者さんや、寒暖差の影響を受けやすい低血圧の人も要注意です」

 同クリニックの寒暖差疲労外来の患者は8割が女性で、仕事が忙しく運動不足になったり、生活習慣が乱れたりしている人が多いという。

▽運動や生活習慣改善を

 季節の変わり目に体調不良になる、冷え性がある、暑さ寒さが苦手など、久手堅院長が考案した寒暖差疲労のセルフチェックを参考にしつつ、日常生活に支障が出ている場合は「自分で運動や生活習慣改善に取り組み、それでも症状が緩和されなければ、内科や東洋医学科(漢方外来)の受診をお勧めします」。まだ数は少ないが、寒暖差疲労の専門外来を受診するのも手段の一つという。

 同外来での治療は運動やストレッチ、生活習慣改善が主体となる。それらで症状の軽減は期待できるというが、改善されない場合、漢方薬を中心とした薬物療法を行う。「症状がゼロにならなくても、4割程度軽減されれば生活への支障も減るでしょう」

 「血液検査や脳画像検査などで異常が見られないものの、症状を訴える患者さんは多いです。心身の不調が寒暖差によって起きる場合があるのを理解して、必要に応じて医療機関を受診し、症状改善を目指すのもよいでしょう」と、久手堅院長はアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)

   ◇   ◇

 せたがや内科・神経内科クリニックの所在地は、〒158―0094 東京都世田谷区玉川3の39の12 電話03(6805)6418

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