肺に穴が開き、空気が漏れることで肺が縮む「気胸」。若年男性に多いタイプ、肺疾患のある高齢者に起きるタイプ、月経に伴うものなどさまざまだ。玉川病院(東京都世田谷区)気胸研究センターの坪島顕司センター長に聞いた。 ▽胸痛や呼吸困難 気胸は、肺に何らかの原因で穴が開き、漏れた空気が胸腔(きょうくう)にたまり、肺が縮んだ状態を指す。主な症状は、胸痛と呼吸困難だ。「通常は片肺に起きます。発症した側の胸、肩、背中の痛みや、息苦しさを覚えます」と坪島センター長。大半は自力で歩けるが、「肺と胸壁との間で血管に癒着が生じている場合、肺が縮む過程で癒着した血管が切れて出血が起き、緊急手術を要する場合もあります」。 10~20代の痩せ形男性に多く、明確な原因が分かっていない原発性自然気胸は、一時的な空気の漏れはあるものの自然に穴が閉じるケースもある。漏れた空気は血液に溶け込み、やがて消える。 また、高齢者に多い続発性自然気胸は、肺の病気などにより胸膜に穴が開くのが原因。「肺の病気として代表的なのが、長年の喫煙や大気汚染などによる慢性閉塞性肺疾患(COPD)で中高年男性に多く見られます。原因不明の間質性肺炎に伴う気胸も続発性の一つです」 女性特有の月経随伴性気胸も。月経の前後数日以内に起きるのが特徴で、「子宮内膜の組織が長い時間をかけて横隔膜を介して胸腔内に到達することで、気胸が発症すると考えられています」。 ▽専門施設で納得の治療 ほとんどの自然気胸は原因不明のため、確立した予防法はない。「喫煙はリスクになるので控えた方がよいですが、他の予防法はありません」 気になる症状があれば、呼吸器内科や胸部外科を受診するとよい。「気胸は、肺に深刻な病気があると命に関わるケースもありますが、基本的には命に関わる病気ではありません」 初の発症で軽度であれば、自宅や入院で経過を見る安静療法や、たまった空気をチューブで抜く胸腔ドレナージ療法が行われる。半数程度は再発しない。再発する場合は発症を繰り返すことが多いため、肺の穴をふさぐ内視鏡手術が一般的。 なお、玉川病院の気胸研究センターの他、全国に専門施設を設ける医療機関は複数存在する。「専門施設を受診するメリットは、さまざまなタイプの気胸に対応でき、納得できる治療が提案できる点です」と坪島センター長は話している。(メディカルトリビューン=時事) ◇ ◇ 玉川病院の所在地 〒158―0095 東京都世田谷区瀬田4の8の1 電話03(3700)1151