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TGCV患者の動脈硬化病変が著明退縮

トリカプリンの症例報告

2023年01月18日 05:00

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 大阪大学大学院中性脂肪学共同研究講座特任教授の平野賢一氏らは、トリカプリン栄養療法によりびまん性動脈硬化病変が著明に退縮した、中性脂肪蓄積心筋血管症(Triglyceride deposit cardiomyovasculopathy;TGCV)患者2例をEur Heart J2022年12月30日オンライン版)に報告。TGCV治療におけるトリカプリン摂取の重要性が示唆された。

難治性狭心症/糖尿病を有するTGCV患者

 TGCVはトリグリセライド(TG)の蓄積によるびまん性の動脈硬化を特徴とする新しい心血管疾患であり、細胞内の中性脂肪分解異常により惹起される。標準的な薬物療法や侵襲的治療(脂質低下療法や冠動脈カテーテル治療など)が奏効しない心血管疾患・心不全患者の中に、未診断のTGCVが隠れているといわれている。

 今回報告されたのは、難治性狭心症患者(症例1:パネルA)と糖尿病患者(症例2:パネルB)。いずれも60歳代で、TGCVと診断された後に、トリカプリン摂取を開始したところ、症状は数カ月以内に改善した()。

図. 症例1(左)と2(右)の血管CT画像など

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(大阪大学プレスリリースより)

 冠動脈CT血管造影の結果、動脈硬化病変の著明な退縮と内腔の拡大が確認された(左前下行枝:パネルA上段、左右冠動脈:パネルB上段)。

 外膜側から観察した低吸収領域〔low-attenuation area:パネルA中段の黄色部分(HU -25~0)およびオレンジ部分(HU 0~40)〕とその血管壁体積(パネルB中段グラフ、黄色のバー)〕は減少していた。これらは冠動脈における脂質障害の改善を示唆する。

血清脂質やHbA1cには変化なし

 以上の所見は、iodine-123-β-methyl-p-iodophenyl pentadecanoic acid(123I-BMIPP)シンチグラフィ所見の改善とも合致した(パネルA、B下段)。しかし、血清脂質やHbA1cには、トリカプリン摂取前後で変化は見られなかった。

 平野氏らは「血清脂質値の低下に伴う動脈硬化の退縮は広く説明されているが、今回われわれが観察した退縮は概念的に新しいものであり、冠動脈硬化の病因および治療における細胞内TG分解経路の重要性を示唆するものである」と述べている。

木本 治

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