厚生労働省は8月28日付で医薬局医薬安全対策課長通知(医薬安発0828第1号)を発出し、添付文書の「使用上の注意」の改訂を指示した。デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)に対する遺伝子治療薬デランジストロゲン モキセパルボベク(商品名エレビジス点滴静注)は「重要な基本的注意」の項に、急性肝不全に関連する検査項目および画像検査を行うこと、異常が認められた場合には投与の延期等の適切な対応を行うこと、副腎皮質ステロイドの投与による感染症に関する注意喚起を追記した。また、「特定の背景を有する患者に関する注意」に 「合併症・既往歴等のある患者」の項を新設し、「重要な基本的注意」に記載されていた感染症を合併している患者に対する注意喚起に関する記述を移行。「重大な副作用」の「肝機能障害」の項に「急性肝不全」を追記し、同薬投与後に死亡に至った症例(歩行不能患者)が海外で報告されている旨を追記した。(関連記事「エレビジス点滴静注、歩行不能DMD患者に投与制限」) 因果関係が否定できない転帰死亡の急性肝不全関連症例が集積 デランジストロゲン モキセパルボベクについては、転帰死亡の急性肝不全関連症例を評価した。その結果、因果関係が否定できない症例が集積したことから、専門委員会の意見も聴取した上で使用上の注意を改訂することが適切と判断された。 なお、評価した急性肝不全関連症例のうち1例について、投与後の感染症検査が十分に実施されていなかったことが確認された。当該症例は、国内の承認審査時点では剖検結果が得られておらず、急性肝不全および感染症に関する追加の注意喚起の要否について結論を出すことが困難とされていた。しかし今回、剖検結果などの追加の情報が入手されたことを踏まえ、副腎皮質ステロイドの使用による感染症の発症に関する注意喚起を追記し、感染症を合併している患者に対する注意喚起を「合併症・既往歴等のある患者」の項に移行することが適切と判断された。 詳細は、厚労省の「医薬安発0828第1号」を参照されたい。 (編集部・植松玲奈)