心不全の治療に用いられるACE阻害薬などのレニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬は、ヘモグロビン値を低下させて貧血を引き起こす可能性が指摘されている。一方、ネプリライシン阻害薬は造血を促進することが実験で示されている。そのため、両薬を併用すればヘモグロビン値の低下を軽減・予防できる可能性がある。英・University of GlasgowのJames P. Curtain氏らは、左室駆出率(LVEF)が低下した心不全(HFrEF)の患者を対象にアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)サクビトリルバルサルタンとACE阻害薬エナラプリルを比較検討したPARADIGM-HF試験のデータを解析。その結果、サクビトリルバルサルタン群ではエナラプリル群と比べてヘモグロビン値の低下幅が小さく、貧血の新規発症率が30%低下したと J Am Coll Cardiol HF(2023; 11: 749-759)に発表した。