デュピルマブ、水疱性類天疱瘡の寛解持続と症状改善に有効性示す

サノフィ

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 サノフィは本日(9月30日)、抗インターロイキン(IL)-4/13受容体抗体デュピルマブ(商品名デュピクセント)について、中等症~重症の水疱性類天疱瘡の成人患者が対象の国際共同第Ⅲ相ピボタル試験ADEPTにおいて主要評価項目と全ての主な副次評価項目を達成したと発表した。(関連記事「デュピルマブが特発性の慢性蕁麻疹に適応拡大」)

 ADEPT試験では、中等症~重症の成人水疱性類天疱瘡患者106例を、標準治療である経口ステロイド薬(OCS)にデュピルマブを追加する群(53例、初回用量の投与後に300mg隔週投与を継続)またはプラセボ群(53例)にランダムに割り付けた。試験期間中は、全例がOCS減量レジメンに従い、疾患活動性がコントロールされていればOCSの減量を進めた。 主要評価項目である36週時に寛解持続を認めた患者の割合(3つの構成要素を全て満たした割合)は、プラセボ群の4%に対しデュピルマブ群は20%と5倍に上った(P=0.0114)。構成要素ごとの有効性評価の結果は、①OCS減量の完了後に再燃がなかった患者の割合:プラセボ群16% vs. 59%、名目上のP=0.0023、②投与期間中にレスキュー療法が不要であった患者の割合:同12% vs. 42%、名目上のP=0.0004、③ 16週時までにOCSの投与を終了し、完全寛解が得られた患者の割合:同27% vs. 38%、有意差なし。

 重要な副次評価項目とした、疾患重症度の90%以上の低下が認められた患者の割合10% vs. 41%、P=0.0003)、臨床上意義のある瘙痒スコアの減少が認められた患者の割合11% vs. 40%、P=0.0006)についてもデュピルマブ群で有意に良好だった。有害事象の発現率は両群とも96%で、デュピルマブ群において3例以上に認められプラセボ群より発現率が高かったのは、末梢性浮腫、関節痛、背部痛、霧視、高血圧、喘息、 結膜炎、便秘、上気道感染、四肢損傷、不眠だった。死亡に至った有害事象はプラセボ群でのみ2例に認められた。

 デュピルマブは、水疱性類天疱瘡治療薬として米食品医薬品局(FDA)にオーファンドラッグ指定を受けており、今回同疾患患者においてステロイド減量効果を示した初めての薬剤となる。サノフィは同試験の結果に基づき、世界各国で適応追加申請を行う予定としており、米国では今年(2024年)中に申請する予定でという。承認されれば、日本や米国、欧州において水疱性類天疱瘡に対する初の生物学的製剤となる可能性がある。

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