世界初! プベルル酸に抗がん薬並の腎毒性を確認

小林製薬「紅麹サプリ」の原因物質

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 日機装と金沢大学医薬保健研究域薬学系准教授の荒川大准氏らの研究グループは昨日(10月3日)、「ヒト細胞実験の結果、プベルル酸は近位尿細管上皮細胞に毒性を発現させること、細胞毒性は抗がん薬の白金製剤シスプラチンと同程度であることが示唆された」と発表した。プベルル酸の腎毒性のヒト細胞実験による確認は世界初となる。(関連記事:「紅麹サプリ、中止後も8割超が腎機能回復せず」「「紅麹コレステヘルプ」の腎障害発症例調査、中間報告発表」)

 プベルル酸はアオカビから産生される天然化合物で、小林製薬のいわゆる「紅麹サプリ」による健康被害の原因物質の1つとされる。国立医薬品食品衛生研究所が行った動物実験では近位尿細管の変性・壊死が確認されているが、ヒト腎細胞への直接的影響は明らかでなかった。

 研究グループは今回、荒川氏らが確立した腎毒性評価手法(J Pharm Sci 2024年8月15日オンライン版)に基づく実験を行った結果、一定濃度以上のプベルル酸が近位尿細管上皮細胞の細胞死を誘導することを確認。また、プベルル酸が近位尿細管上皮細胞に取り込まれる経路薬物トランスポーターの一種である有機アニオントランスポーターが関与していることが示唆された。紅麹サプリによる健康被害者におけるプベルル酸濃度は明らかでないものの、プベルル酸による細胞毒性は抗がん薬の中でも腎障害を起こしやすいシスプラチンと同程度であるという。

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