CVカテーテルによる空気塞栓事例をクイズで解説

抜去時の適切な姿勢は坐位?仰臥位?

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 医薬品医療機器総合機構(PMDA)は本日(2月5日)、「医療安全情報No.71 中心静脈に留置するカテーテル使用時の空気塞栓事例について」(以下、安全情報)を公式サイトに掲出。中心静脈(CV)カテーテルの使用に伴う空気塞栓事例の発生を受け、①適切な閉鎖式コネクタの取り扱い、②カテーテル抜去時の適切な姿勢(坐位/仰臥位)-について、クイズ形式で解説している。(関連記事「ワイヤーのコーティング剝離などで注意喚起」)

閉鎖式コネクタを使用しない場合は、「●●」を確実に閉める

 CVカテーテルの使用時には、さまざまな場面で空気塞栓のリスクが伴う。安全情報では図1のようなクイズを出題し、適切な閉鎖式コネクタの取り扱い、カテーテル抜去時の適切な姿勢について考えるよう促している。

図1. CVカテーテル使用時の空気塞栓リスクに関する出題

事例1:閉鎖式コネクタの誤使用による空気塞栓

 CVカテーテルによる点滴終了時に誤って患者側の閉鎖式コネクタをルートごと外してしまったため、ルートが大気に開放され空気塞栓が発生した。

 安全情報では、閉鎖式コネクタの接続を外す際には、①患者側をクランプしている②閉鎖式コネクタが患者側に付いている-ことを十分に確認し、ルートが大気に開放されないよう注意するよう求めている(図2)。

図2. 閉鎖式コネクタの取り扱い

 また、閉鎖式コネクタを使用しない場合は、ルート取り外し時には保護栓を確実に閉めるよう注意喚起。閉鎖式コネクタと開放式コネクタの混在による誤認識リスクも考慮し、院内で使用している物品の再確認を指示している。

抜去時は刺入部の静脈圧が「●●」状態で行うことが望ましい

事例2・3:カテーテル抜去時の空気塞栓

 2例目は、透析用カテーテルを坐位で抜去したところ、動脈血酸素飽和度(SpO2)が低下し意識消失。頭部CT、MRI検査の結果、空気塞栓が確認された。3例目は、CVカテーテルを抜去後にガーゼで圧迫保護を行っていたが、1時間後に容態が急変。X線検査の結果、空気塞栓が認められた。

 安全情報では、内頸静脈、鎖骨下静脈に留置したカテーテルの抜去時には、頭低位で呼吸を止めるなどして刺入部の静脈圧が高い状態で行うことが望ましいと解説(図3-上)。抜去後は呼吸再開により空気が引き込まれないよう、直ちに密閉性のドレッシング材で被覆し、少なくとも5分以上圧迫することとしている(図3-下)。

図3. カテーテル抜去時の適切な姿勢(上)と空気塞栓が生じるメカニズム(下)

(図1~3とも「医療安全情報No.71」より)

 なお、安全情報作成に当たっては、日本医療安全調査機構の「医療事故情報の再発防止に向けた提言第17号 中心静脈カテーテル挿入・抜去に係る死亡事例の分析-第2報(改訂版)-」を参照している。

編集部・関根雄人

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