高額療養費制度上限引き上げに反対の声明

がん関連学会

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 高額療養費制度の見直しをめぐる政府方針に対し反対の声が続出している。本紙既報の日本乳癌学会の他、日本肺癌学会、日本胃癌学会、日本緩和医療学会などがん関連学会が声明を発表した。(関連記事「乳癌学会、高額療養費制度に対し緊急声明」)

このままでは経済的理由から治療継続が困難な事態に

 政府は昨年(2024年)末、患者に「高額療養費制度」の自己負担上限額を今年(2025年)8月から27年8月にかけて段階的に引き上げる方針を示した。しかし患者団体などの反発を受け、長期治療が必要な患者の負担を据え置くよう方針の一部を修正している。それでも、日本乳癌学会を始め「患者の経済的負担を増大させる」と、見直し案の凍結を求める声が多い

 昨日(2月26日)、「『高額療養制度の見直しにかかる議論について』の声明」を公表した日本肺癌学会は、「特に問題なのは、これらの議論において、患者・家族や治療に携わる医療従事者の代表が十分に参加できていないこと」と、方針決定に至るプロセスを問題視。「今回の変更で治療が受けられない、継続が困難になるなどの事態を憂慮しています。(中略)制度変更にあたっては、患者や医療現場の声を直接反映させる形で慎重かつ丁寧な議論が行われることを望みます」としている。

 日本胃癌学会は「高額療養費制度の負担上限額引き上げに関する声明」の中で、政府方針に対し「今まで実施できていたがん薬物療法などが、患者さんの経済的な理由により実施できなくなる可能性があります」と警鐘を鳴らし、「政府案の見直しやがん患者の経済的負担の軽減に向けた」再検討を求めている

 一方、「高額療養費制度の負担上限額引き上げに関する緊急声明」で日本緩和医療学会は「公的保険制度の維持と保険料の負担軽減の観点から、高額療養費制度の負担上限引き上げはやむをえない対応」と一定の理解を示す。しかしながら、「政府案では負担上限の引き上げ幅が大きく(中略)治療そのものならびに当該疾患の治療と並行して実施される緩和ケアの実施に大きな影響が生じること」を懸念。「経済的な事由によって、わが国で、必要としている人が緩和ケアを受けることができない事態を招くことを看過することはできません」と政府方針に対する反対姿勢を示している。

(編集部・小暮秀和)

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