高額療養費問題に保団連「患者切り捨ての改悪」 患者らの悲痛の訴え踏まえ抗議声明 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする 全国保険医団体連合会(保団連)は本日(3月6日)会見を開き、高額療養費制度の自己負担限度額引き上げを含む2025年度の政府予算案の衆議院通過に対する抗議声明を発表。会見にはがん患者らも出席し、肺がんを患う水戸部ゆうこ氏は「自己負担上限額の引き上げは弱い者いじめであり、患者を切り捨てるという国としてあるまじき政策」と強く反発した。(関連記事「『高額療養費』の前に『生活保護の医療費免除』にメスを」) 「子どもが育たない国づくりをしてどうするのか」 会見ではがん患者の悲痛な訴えが続いた。3年前に乳がんを宣告された板井氏は「これまで高額療養費制度のおかげで安心して治療に専念することができた。この制度は私たち重症患者にとって唯一の砦。国民の命を守る制度になぜメスを入れたがるのか」と述べた。 高額療養費制度を利用して大腸がんを寛解した矢作氏は「自己負担額の引き上げが行われれば治療を抑制し、病気が重篤化するケースが間違いなく増える。子どもが育たない国づくりをしてどうするのか」と憤りを隠さなかった。 「命の切り捨てではなく、命を守る政策を考えてほしい」と訴えたのは、卵巣がんを患い多数回該当で治療費を支払っている岩下氏。「病状の悪化などで治療方針が変われば多数回該当から外れるため、また一から払わなければならない。その金額がどれほどの重みを持つか、政府関係者は考えたことはあるのだろうか」と疑問を呈す。 多数回該当については肺がんと診断された松下氏も言及。「政府は多数回該当の据え置きで歩み寄りの姿勢を示したつもりかもしれないが、長期療養中でも治療変更や副作用による休薬などで多数回該当の適用外となることがある。そうした現状を理解した上で、再検討をしてほしい」と述べた。 白紙撤回を強く要求 高額療養費制度の見直しをめぐって政府は当初、患者負担の上限額を今年(2025年)8月から27年8月にかけて段階的に引き上げる方針を示した。だが、各方面からの反発を受け長期療養者の負担を軽減する多数回該当は据え置くとしたものの、今年8月からの引き上げは予定通り実施、26年8月以降の引き上げについては今秋までに再検討するとしている。 水戸部氏は、ともに受験生となる高校生と中学生の2人の児を育てる母親だ。「多数回該当が据え置かれようと、今年8月から高額療養費制度限度額引き上げという現実が近づいている。大病を抱え、働くことさえままならない、子育て世代にとってこんなに苦しいことはない。政府関係者をはじめとした公務員は付加給付で守られているため、全く痛みを伴わないという不公平さにも腹が立つ。今すぐにこの改悪案を撤回してほしい」と強く訴えた。 (編集部・小暮秀和) 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする ×