大幅増!梅毒感染妊婦に対する治療法を周知 全国調査結果を受け日本産科婦人科学会が提言 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする 日本産科婦人科学会は昨日(3月11日)、大幅に増加する梅毒合併妊婦の治療法に特化した「妊婦の梅毒感染に対する治療法に関する全国調査」の結果を公表。同時に、梅毒に対する治療について産婦人科医へのさらなる啓発が必要との考えから、「梅毒感染妊婦に対する治療法に関する提言」を公式サイトに掲出した。(関連記事「梅毒流行の深層は?性風俗産業、トー横から」) 梅毒合併妊婦に関するGL改訂を認識する医師は30%未満 梅毒の流行期がいまだ終息しない。昨年(2024年)、東京都における梅毒報告数は過去最多を更新し、都市部のみならず地方都市へも感染の広がりが見られる。 女性の梅毒患者増加に伴い、梅毒合併妊婦も増加。梅毒の診断年別妊娠症例数は、2019~20年の年間200例前後と比べ、2022年は267例、2023年は383例へと大幅に増加している。そのため、産婦人科医には治療への十分な理解と実践が求められる。 そこで日本産科婦人科学会は、2024年12月20日~25年1月24日に所属会員を対象としたアンケートを実施し、梅毒合併妊婦の治療法について実態調査を行った。有効回答数は1,032人だった。 その結果、梅毒合併妊娠への対応経験がある医師は65%だった。そのうちペニシリンアレルギーのある梅毒合併妊婦に対する治療経験者は5%だった。また、梅毒合併妊婦への対応について、日本性感染症学会発行のガイドライン改訂を認識していた医師は28%だった。 第一選択薬はペニシリン、アレルギー対応にも注意 こうした結果を踏まえ、日本産科婦人科学会は梅毒合併妊婦に対する治療法について、産婦人科医の教育・啓発の必要性を訴え、下記のような提言を行っている。 ・梅毒の治療 第一選択薬はペニシリンで、①アモキシシリン(経口、1回500mg、1日3回、28日間)、②ベンジルペニシリンべンザチン(筋注、1回240万単位。早期梅毒では単回、後期梅毒では週に1回で計3回)がある。特にベンジルペニシリンべンザチンの筋注使用の場合、ヤーリッシュ・ヘルクスハイマー反応による胎児機能不全や早産などに対応できるよう、産科医療機関での入院観察を考慮すべきという意見がある。 ・ペニシリンアレルギー患者について ペニシリンアレルギー既往のうち真のアレルギーは1割程度との報告があるため、安易にペニシリンの使用回避をせずに真のペニシリンアレルギー患者にのみ第二選択薬(ミノサイクリン)、第三選択薬(スピラマイシン酢酸エステル)を使用。ミノサイクリンは一般に妊娠中の投与を避けるとされているが、梅毒に関しては有益性を鑑み使用可能(添付文書上、使用禁忌でないが注意事項に胎児に一過性の骨発育不全、歯牙の着色・エナメル質形成不全を起こすとの記載あり)。しかし現状は、ペニシリンアレルギーに関してさまざまな意見があり症例ごとに検討が望まれる。 ・治療時期・注意点 梅毒抗体検査の結果は初回検査の4週間後に妊婦に説明されることが多いが、活動性梅毒を疑った場合は早急に診断を確定して治療につなげることが先天性梅毒の防止につながる。不十分な治療(ペニシリン以外の治療や不完全な治療)は、先天性梅毒の可能性があるため、第二、第三選択薬で治療した場合や第一選択薬であっても後期梅毒の治療の場合は児の観察が必要。 詳細は、日本産科婦人科学会の「梅毒感染妊婦に対する治療法に関する提言」を確認されたい。 (編集部・小暮秀和) 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする ×