リウマチ学会、高額療養費制度に関する見解公表

バイオシミラー活用など4つの方針示す

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 日本リウマチ学会は3月24日、高額療養費制度の上限引き上げに関する学会の見解を公表。今回は見送りとなったものの、「特に分子標的薬を使用しているリウマチ性疾患の患者にとって、長期的な治療費負担の増加は深刻な問題」として、慎重な議論を重ねた結果、バイオ医薬品とJAK阻害薬の適正使用推進バイオ後続品(バイオシミラー)の適切な活用および安定供給の確保など、4つの方針を示した。(関連記事「呼吸器学会、高額療養費制度に関する声明公表」)

患者負担軽減と医療制度の維持を両立させる提言なども実施

 日本リウマチ学会は、高額療養費制度の上限引き上げが議論されている現状について、患者に多大な不安をもたらしていると指摘。特に分子標的薬の使用例において、長期的な治療費負担の増加は深刻な問題であることから慎重に検討を重ねた。その結果、現時点で以下の方針をもって対応するとの見解を示した。

①医療費負担の軽減と持続可能な医療制度の両立

高額療養費制度の急激な上限引き上げは、患者の治療継続に影響を及ぼす可能性があり、慎重な運用が求められる

一方で、医療財政の持続性を考慮し、費用対効果に基づく適正な薬剤使用を推進する必要がある

日本リウマチ学会として、日本医学会をはじめとする関連学会などと連携し、患者負担軽減と医療制度の維持を両立させる提言を行う

②分子標的薬(バイオ医薬品・JAK阻害薬)の適正使用の推進

患者との"Shared Decision Making(共同意思決定)"を重視し、個々の症例に適した治療法を選択することが重要である

バイオ医薬品やJAK阻害薬の適正使用を推進し、寛解維持が可能な場合には減量や投与間隔の調整を検討する

エビデンスに基づいた治療戦略を確立し、より適切な治療選択肢の提供に努める

これにより患者の負担軽減だけでなく、医療費の適正化にも貢献できると考える

③バイオシミラーの適切な活用と安定供給の確保

医療費削減の観点から、バイオシミラーの適切かつ積極的な活用を推奨する

長期安全性の確保と安定供給の維持を求め、製薬企業とも連携を図る

④患者の負担軽減と医療の質向上に向けた取り組み

早期診断・早期治療の重要性をあらためて周知し、標準治療の普及を推進するとともに、副作用のリスクを考慮しながらグルココルチコイドの使用を最小限に抑えることを推奨する

患者教育や合併症予防の充実を図り、長期的な健康維持に努める

経済的負担が大きい患者層(低所得者・若年層)の医療費負担の影響を最小限に抑えるための政策提言を行う

医療費削減と治療の質の向上を両立するため、エビデンスに基づいた医療経済的視点を取り入れた治療を推進する

 その上で、患者が安心して最適な治療を受けられる環境を守るとともに、持続可能な医療制度の構築に向けた取り組みを継続するとしている。

編集部・関根雄人

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