厚生労働省雇用環境・均等局雇用機会均等課は4月3日、不妊治療と仕事の両立の支援を目的とした、職場の上司・同僚向けサポートハンドブックおよび、事業主・人事部門向けマニュアルを作成。公式サイトに掲出した。(関連記事「どうする?女性外科医の不妊治療」「オーバードーズ防止に向け、小中高生向けの周知資材を作成」) 4人に1人以上が「両立できない」 結婚や出産の高齢化が進んだ日本では、働きながら不妊治療を受ける労働者が増加傾向にある。厚労省の調査によると、夫婦のうち不妊を心配したことがある割合は39.2%、実際に不妊の検査や治療を受けたことがある(現在受けている)のは22.7%と、年々増加しており(図1)、2022年の全出生児に占める生殖補助医療による出生児の割合は10%(7万7,206人)に上った。 図1.不妊の検査や治療を受けたことがある夫婦の割合 こうした背景の下、2021年2月に次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画策定指針が改正され、一般事業主行動計画に盛り込むことが望ましい事項として「不妊治療を受ける労働者に配慮した措置の実施」が追加された。2022年4月には不妊治療と仕事との両立に取り組む優良な企業に対する新たな認定制度が創設され、不妊治療の保険適用が始まるなど国の支援も進んでいる。 一方で、不妊治療をしたことがある(予定している)労働者のうち、26.1%が仕事との両立ができなかった(できない)との調査結果もある(図2)。 図2.不妊治療と仕事の両立状況 両立が困難な理由として、①治療にかかる時間が読めない、②通院日に外せない仕事が入るなど仕事との日程調整が難しい、③精神面での負担が大きい-ことなどが挙げられている。 こうした状況に鑑み、厚労省は「不妊治療を受けやすい休暇制度等環境整備推進事業」の一環として、職場の上司・同僚向けの「不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック」(図3)を作成。事業主・人事部門向けの「不妊治療を受けながら働き続けられる職場づくりのためのマニュアル」(図4)についても、最新の情報に基づき改定し、各企業において不妊治療に対する理解と周知、および仕事との両立に向けた支援・取り組みを進めるよう求めている。 図3.「不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック」 図4.「不妊治療を受けながら働き続けられる職場づくりのためのマニュアル」 (図1~4とも厚生労働省発表資料) (編集部・小暮秀和)