百日咳ワクチン、母子免疫と医療者接種の考え方を公表 日本産科婦人科学会 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする 日本産科婦人科学会は4月25日付で会員向けに「乳児の百日咳予防を目的とした百日咳ワクチンの母子免疫と医療従事者への接種について」を作成、4月28日に理事長の加藤聖子氏、感染対策連携委員会委員長の川名敬氏、周産期委員会委員長の板倉敦夫氏の連名で公式サイトに掲出した。2018年以降、百日咳は感染症法上の5類感染症として全数把握が義務付けられている。昨年(2024年)以降、患者報告数が増加傾向を示しており、特に乳児の重症例が増加し、マクロライド耐性百日咳菌の頻度が増加していることを受けての措置。(関連記事「百日咳、妊娠前ワクチン接種に向け一歩前進」「百日咳定期接種の予防効果、学童期には消失」) 母子免疫ワクチンの進展に期待 今回、日本産科婦人科学会が周知したのは以下の3点。 母子免疫の早期導入 日本では百日咳の予防策として、生後2カ月以降の乳児に対する百日咳含有ワクチン〔百日咳・ジフテリア・破傷風・急性灰白髄炎(ポリオ)・インフルエンザ菌b型(Hib)の5種混合ワクチン(DPT-IPV-Hib)など〕の定期接種が行われている。しかし、ワクチン接種前の乳児における感染例が多く、重症化が問題となっている オーストラリアや欧米諸国では、妊娠後期の妊婦が成人用3種(百日咳・ジフテリア・破傷風)混合ワクチン(Tdap)を接種することで母体から胎児への移行抗体を増加させ、乳児の重症化を防ぐいわゆる「母子免疫ワクチン」が推奨されている。現在、Tdapは国内未承認であるため個人輸入しか方法がなく、副反応発生時の対応など課題が多いことから日本では母子免疫ワクチンが進んでいない 百日咳含有ワクチン(DTaP)による代替接種の可能性 これまでに定期接種として導入されている百日咳含有ワクチンのうち、3種混合ワクチンDTaP(商品名トリビック)は添付文書上、妊婦への皮下接種が可能である。また、厚生労働省研究班の最近の研究および疫学調査により、妊婦へのDTaP皮下接種の安全性と乳児への百日咳に対する抗体移行が確認されている。Tdapが使用できない国内における母子免疫を目的とした妊婦への百日咳ワクチン接種の実現可能な代替案として、DTaPの活用が考慮される。ただし、現時点で妊婦へのDTaP皮下接種による乳児百日咳の重症化予防効果は証明されていない点に留意する 妊婦への感染リスク低減のための医療従事者へのDPTワクチン接種 乳児の百日咳感染源の多くは家族および医療従事者であることから、日本環境感染学会では産科病棟スタッフ、新生児や乳児をケアするスタッフ、妊婦や新生児と接触する医療関係者に対しDTaPの接種を推奨している。百日咳の流行抑制には、妊婦や新生児の診察に当たる産婦人科医や助産師をはじめとする医療従事者への接種も考慮される 同学会は、これらの内容を日常診療の参考にすること、日本においても百日咳に対する母子免疫ワクチンが進むことに期待を示している。 (編集部・関根雄人) 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする ×