希少疾患の新薬に注目集まる

第98回日本内分泌学会・企業展示ブース

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感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

 2025年6月5~7日、幕張メッセで第98回日本内分泌学会が開催された。企業展示では内分泌領域における新たな治療選択肢と技術革新が数多く紹介され、中でも希少疾患に対する新薬や最新医療機器が参加者の注目を集めた。

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甲状腺眼症、HPPの新薬が出展

 今回の展示で特に存在感を示したのが、希少疾患に対する新たな治療選択肢である。アムジェンは、2024年に発売した甲状腺眼症治療薬テプロツムマブ(商品名テッペーザ)を紹介。同薬は、ヒト型抗インスリン様成長因子-1受容体(IGF-1R)モノクローナル抗体製剤で、これまでのステロイドパルス療法、放射線治療、手術療法といった治療法に新たな選択肢が加わることとなった(関連記事:「甲状腺眼症にテプロツムマブ、患者ニーズも考慮」)。

 アレクシオンファーマは、多様な症状から見過ごされがちな低ホスファターゼ症(HPP)治療薬アスホターゼ アルファ(商品名ストレンジック)を展示。担当者は「この領域では診療科間の連携が大切だと感じている。骨折や疼痛などで他科にかかっている患者さんが、内分泌内科での確定診断につながるような情報提供を行っていきたい」と話した。

 他にも、日本イーライリリーの肥満症治療薬チルゼパチド(商品名ゼップバウンド)、MSDの2型糖尿病治療薬セマグルチド(商品名リベルサス)が最新の臨床試験結果とともに紹介され、注目を集めていた。

CGM、インスリンポンプの新機能も

 医療機器の分野では、検査の迅速化と治療の自動化・個別化が大きなテーマとなった。ICSTからは、2025年6月に新発売となる甲状腺機能測定装置「FREND™ System 2.0」が出展。TSH、FT4の測定が約10分で完了するという迅速性に加え、バーコードリーダー搭載による利便性の改善は、多忙な臨床現場における検査効率の大幅な向上が期待できるという。

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 血糖管理の領域では、デクスコムの「Dexcom G7」に代表される持続血糖測定器(CGM)や、メドトロニックのインスリンポンプ「ミニメド780Gシステム」が注目を集めた。CGMによる低血糖アラートは患者さんとその家族の不安を軽減し、ポンプとの連動によるインスリン投与量の自動調整は、より緻密で個別化された血糖コントロールを可能にする。

 担当者からは「これらの技術革新は、患者さんのQOL向上に直結する重要な進歩と言える。今後も当社の製品を通じて医療に貢献していきたい」といった声が聞かれた。

(第98回日本内分泌学会取材班)

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