厚生労働省は本日(6月24日)付で医薬局医薬安全対策課長通知(医薬安発0624第1号)を発出し、添付文書の「使用上の注意」の改訂を指示した。下垂体後葉ホルモン製剤のデスモプレシン酢酸塩水和物の経口薬(商品名ミニリンメルト)および点鼻薬(デスモプレシンなど)は「重大な副作用」の項に「アナフィラキシー」を新設、点鼻薬は「特定の背景を有する患者に関する注意」の項にも過敏症の既往例への注意喚起に関する記述を追加。抗甲状腺薬のチアマゾール(メルカゾール)は経口薬・注射薬ともに「重大な副作用」の項に「急性膵炎」を新設するなどの改訂を指示している。(関連記事「利尿薬に急性近視や閉塞隅角緑内障の副作用」) デスモプレシン:注射薬での症例集積を受け、経口薬と点鼻薬も改訂 デスモプレシンについては、海外で同薬との因果関係が否定できない症例が集積したことを受け、4月8日付で注射薬(商品名デスモプレシン静注4μg「フェリング」)の「重大な副作用」の項に「アナフィラキシー」を新設することを指示していた(関連記事「イクスタンジとパキロビッドが併用禁忌に」)。 今回、経口薬と点鼻薬についてもアナフィラキシー関連症例を評価したところ、経口薬では国内症例が3例(因果関係が否定できない症例0例)、海外症例が3例(同0例)、点鼻薬ではそれぞれ1例(同0例)、3例(同0例)が確認された。注射薬で因果関係が否定できない症例が集積されたことに鑑み、いずれも「重大な副作用」の項に「アナフィラキシー」を新設することが適切と判断した。 ただし、専門委員の意見を踏まえた結果、中枢性尿崩症の適応を有する点鼻製剤(商品名デスモプレシン点鼻スプレー2.5μg「フェリング」)は代替薬がなく、禁忌とした場合は医療現場において不利益を被ると考えられた。そのため、「禁忌(次の患者には投与しないこと)」の項への追記は見送り、点鼻薬では「特定の背景を有する患者に関する注意」の項に、本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者では「治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しない」旨の注意喚起を追記することとした。 チアマゾール:因果関係が否定できない国内症例が5例集積 チアマゾールについては、急性膵炎関連症例および疫学文献を評価した。医薬品医療機器総合機構(PMDA)の副作用等報告データベースにおける集積状況を検討した結果、急性膵炎関連症例が6例(因果関係が否定できない症例5例)、死亡が1例(同0例)確認された。 さらに同薬と急性膵炎の関連を示唆する疫学文献が複数報告されており、専門委員の意見も踏まえた上で、「重大な副作用」の項に「急性膵炎」を新設することが適切と判断。「上腹部痛、背部痛、発熱、嘔吐等の症状、膵酵素異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと」の記載を追記するよう指示した。 詳細は、厚労省の「医薬安発0624第1号」を参照されたい。 (編集部・関根雄人)