異所性妊娠に伴う卵管破裂による死亡が発生 体外受精で2例、自然妊娠で1例 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする 日本医療安全調査機構(医療事故調査・支援センター)は昨日(7月2日)、子宮内ではない場所に受精卵が着床し(異所性妊娠)、卵管破裂による出血性ショックのため死亡した事例が体外受精で2例、自然妊娠で1例発生したとして、「医療事故の再発防止に向けた警鐘レポートNo.3」(以下、レポート)を発行。これを受けて厚生労働省は同日付で、医政局地域医療計画課医療安全推進・医務指導室長通知(医政安発0702第6号)および医薬局医薬安全対策課長通知(医薬安発0702第1号)を発出し、関係団体に確認と周知を依頼した。(関連記事「〔NEJM総説〕現代の急性腹症」「注射剤のアナフィラキシーによる死亡が19例発生」) 患者からの情報により「腹部症状は妊娠と関連なし」と誤認 今回の事例は、医師が患者からの情報提供により腹部症状が妊娠と関連したものではないと誤認。その上で診断した結果、異所性妊娠に伴う卵管破裂を来し出血性ショックのために死亡したもの。 事例1 体外受精で2個の胚移植を実施した40歳代が、腹痛と嘔吐を主訴に救急要請し、救急外来を受診。患者から「産婦人科を受診し、妊娠8週相当で胎児心拍を確認した」と情報あり。感染性胃腸炎と診断し、制吐薬と補液で経過観察。翌朝、頻脈・血圧低下・性器出血あり。数時間後に心停止となった。自己心拍再開後にCTで腹腔内出血、卵管出血が疑われ、子宮動脈塞栓術を施行したが数日後に死亡した。 死因は、卵管間質部破裂による出血性ショックとされた。 事例2 自然妊娠した30歳代が、性器出血のため受診。妊娠反応陽性だが、胎囊不明であり切迫流産と診断。4日後、性器出血が増量しエコーで胎囊様の所見を認めたが断定は困難。数日後、自宅で「塊」が出たため再受診。胎囊様の所見は消失しており流産と診断。さらに数日後、腹痛があり、また検査薬で妊娠反応陽性となったため受診。経腟超音波検査で、流産後の経過と判断され帰宅。最終受診の約1週間後、自宅で倒れ搬送先で死亡した。 死因は、卵管破裂による出血性ショックとされた。 生殖補助医療では異所性妊娠の頻度が上昇 レポートでは対策として、腹部症状が出現した時点で正常妊娠や流産などの情報があったとしても異所性妊娠を疑い、生殖補助医療では異所性妊娠(正所異所同時妊娠を含む)の頻度が上昇することを認識すべきだと強調。妊娠可能な女性の急性腹症の救急対応については、①異所性妊娠の可能性を考慮した上で腹部超音波などによる腹腔内所見の確認や妊娠反応の検査を検討し必要に応じて産婦人科につなぐ、②産婦人科は経腟超音波検査や血中hCG定量検査の実施およびCT/MRI検査を検討する、③自宅で経過観察をすると判断した場合でも腹痛などの症状が続くときには再受診するよう患者に指導する-ことを提案している(図)。 図.異所性妊娠に伴う卵管破裂による死亡を回避するための対策 (「医療事故の再発防止に向けた警鐘レポートNo.3」より) (編集部・小暮秀和) 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする ×