多発性硬化症(MS)の再発予防における第一選択薬フマル酸ジメチル(DMF)は、長期の有効性および安全性が確認されている(Mult Scler 2022; 28: 801-816)。一方、薬剤選択に際し重要となるDMFの至適患者像についてはいまだ一貫した見解が得られておらず、実臨床で簡便に活用できる指標も明らかでない。九州大学大学院神経内科学教室/浜の町病院(福岡県)脳神経内科の田中栄蔵氏らは、DMFの治療反応性に関連する因子の同定を目的に日本人MS患者を対象とした単施設後ろ向き研究を実施。その結果、「DMFの至適投与例を判断する上で、脊髄病変個数およびDMF開始時年齢が独立した予測因子となる可能性が示唆された」と第66回日本神経学会(5月21~24日)で報告した。(関連記事:「小児の多発性硬化症、第一選択薬は?」「多発性硬化症薬への曝露で妊娠転帰は悪化せず」)