エーザイは昨日(7月9日)、アルツハイマー病(AD)治療薬レカネマブ(商品名レケンビ)について、厚生労働省の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協)費用対効果評価専門組織が「費用効果が悪い」とした分析結果に反論。「企業分析と公的分析では根幹となる分析モデルの構造が異なり、長期有効性や介護者QOLが過小に評価されている」との見解を示した。(関連記事「レカネマブが保険適用、費用は年298万円」) 有効性の推計や介護者QOLの算出法に隔たり 厚労省の発表によると、レカネマブの薬価は最大で15%引き下げられる見通し。根拠となったのが今回の中医協による費用対効果評価の結果だ。 これを受け、エーザイは「企業分析と公的分析の間では、分析の根幹となる分析モデルの構造が異なる」と指摘。同薬の「有効性の推計方法、介護者QOLの算出方法においても隔たりがある」としている(表)。 表.企業分析と公的分析のベースケースにおける相違 (プレスリリースより) 同社は「費用対効果評価としてのシミュレーションモデルの検証が十分でない」と反論。有効性や介護者QOLについては、いずれも「過小に評価されている」とした上で、「今回の費用対効果評価は価格への評価であり、有効性、効能効果に影響を与えるものではない。実臨床の実態に即した『レケンビ』の真の価値を学術論文などで発信していくとともに、本剤の価値に対する適正な評価を引き続き求めていく」と強調している。 (編集部・小暮秀和)