【ワシントン=中根圭一】米製薬会社サレプタ・セラピューティクスは21日、幼少期から筋力が低下する難病「デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)」に対する遺伝子治療薬「エレビジス」の出荷を停止すると発表した。死亡例が報告され、米食品医薬品局(FDA)が出荷の停止を求めていた。日本では厚生労働省が5月、条件と期限付きで製造販売を承認していた。 エレビジスは米国では2023年に承認されていた。FDAやサレプタ社などによると、エレビジスを投与された患者2人が死亡し、エレビジスと同じベクター(遺伝子の運び役)を用いた遺伝子治療薬を投与されていた患者1人が死亡した。いずれも急性肝不全を起こしたとみられる。FDAは18日に同社に治療薬の出荷停止を要請したが、同社は拒否していた。 DMDは、筋肉を維持するたんぱく質が作れない遺伝性疾患で、主に幼少期の男児に発症する。エレビジスは、日本では歩行可能な3~7歳の患者を対象として承認されたが、まだ販売されていない。 (2024年7月23日 読売新聞)