日本老年医学会は、高齢者の服薬による有害事象を防ぐための指針を10年ぶりに改定した。主に75歳以上の高齢者を対象にした「特に慎重な投与を要する薬物」のリストに、近年利用が広がっている2種類の糖尿病治療薬が新たに加わった。 6月に改定されたこの指針は「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン」。高齢者は複数の持病を抱え、多種類の薬を長期間飲み続けていることが多い。一方で、薬の成分を体外に排出する機能が落ちて副作用が出やすい傾向がある。リストの対象となるのは、服薬による有害事象のリスクが高い75歳以上と、75歳未満のフレイル(虚弱)や要介護状態にある高齢者だ。 新たに追加されたのは、糖尿病治療薬の「GLP―1受容体作動薬」と「GIP/GLP―1受容体作動薬」。これらの薬は血糖値を下げて食欲を抑えたり、体重を減らしたりする効果があるが、 嘔吐おうと や下痢などの副作用や、体重減少に注意が必要とした。 指針の改定作業に関わった国際医療福祉大の小島太郎教授は「自己判断による服薬の中止は症状が悪化する恐れがある。医師や薬剤師に必ず相談してほしい」と呼びかけている。 (2025年7月24日 読売新聞)