JDDW 2025:「多様化する肝疾患の診療と研究」を討議する機会に

第29回日本肝臓学会大会 会長
関西労災病院 病院長

竹原 徹郎 氏

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感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

竹原 徹郎 氏

 JDDW 2025における日本肝臓学会大会を開催するに当たり、「多様化する肝疾患の診療と研究の最前線に触れ、ディスカッションする機会」にしたいと考えております。

 肝臓学はこの10年で大きな進展を遂げました。特にウイルス性肝炎の治療は進歩し、C型肝炎では直接作用型抗ウイルス薬(DAA)の登場により治療成績が飛躍的に向上しました。B型肝炎でも、完全なウイルス排除はまだ困難ですが、抗ウイルス薬を用いた発がん予防につながる長期管理が可能となりました。

 一方で、新たな課題も浮かび上がってきました。その1つが脂肪肝、特に代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)や代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)で、生活習慣病として注目され、新たな治療薬や診断法の研究が進んでいます。

 JDDW 2025は、こうした肝臓学の課題や展望を共有し、消化器領域全体にまたがる横断的な知識の融合を実現する場です。肝臓領域を含む消化器病全体の他、外科、内視鏡、さらに検診など、さまざまな興味深い他領域の研究成果に触れることができる良い機会だと思います。

 肝臓学に関する多彩なセッションが準備されていますが、中でも「Strategic International Session」では、米国肝臓学会(AASLD)とのジョイントシンポジウム「MetALDの臨床像とマネジメント」が企画されており、国際的な視点からの議論が展開されるので注目してほしいです。

 また、特別講演では、千葉大学の横手幸太郎先生が「肥満症治療の新たな展開」と題して話をされますが、肝臓領域で疾患概念が整理されてきた脂肪肝がテーマとなります。その他にも、肝炎、アルコール関連肝疾患、肝硬変、自己免疫性肝疾患、肝不全など広い領域をカバーしたプログラムが組まれています。

 招待講演では、米・University of Texas Southwestern Medical CenterのYujin Hoshida先生とThe University of Hong KongのCarmen Chak Lui Wong先生が肝がんをテーマに、さらに、National Taiwan University HospitalのPei-Jer Chen先生はB型肝炎をテーマに講演を行います。

 JDDWは数年前からハイブリッドで開催しておりますが、私自身としてはぜひ現地に来ていただきたいと考えています。若手医師・研究者の方には、他分野の視点を取り入れながら自身の研究を深めるチャンスとして、積極的に参加していただきたいです。さらにオンデマンドも活用していただければ、時間帯が重なったセッションを後から視聴することが可能になります。現地では直接交流の機会も多く、将来の共同研究や人的ネットワーク形成にもつながる場になるでしょう。多くの皆さまのご参加を心よりお待ちしております。

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