統合プログラム5(パネルディスカッション) 10月29日 9:00〜12:00 第3会場/神戸国際展示場(2号館) 3A会議室(3F) --> 統合プログラム5(PD)(JDDW・日本消化器病学会・日本消化器内視鏡学会・日本肝臓学会・日本消化器外科学会・日本消化器がん検診学会) 11月1日(土) 9:00〜12:00 第6会場(神戸ポートピアホテル南館 大輪田B) [司会] 中本 安成 氏 福井大・2内科 加藤 健 氏 国立がん研究センター中央病院・頭頸部・食道内科 川井 学 氏 和歌山県立医大・2外科 [演者] 川上 尚人 氏(基調講演) 東北大大学院・臨床腫瘍学 横出 正隆 氏 京都大・消化器内科 宮本 英明 氏 熊本大病院・消化器内科 森川 亮 氏 東京科学大・消化器内科 中島 悠貴 氏 慶應義塾大・消化器内科 小林 真理子 氏 筑波大附属病院・消化器内科 平田 翔一郎 氏 岡山大病院・消化器内科 飯島 徳章 氏 広島大病院・消化器内科 水野 和幸 氏 名古屋大附属病院・化学療法部、名古屋大・消化器内科 赤澤 悠 氏 福井大附属病院・消化器内科 對田 尚 氏 千葉大・光学医療診療部 [特別発言] 掛地 吉弘 氏 神戸大大学院・食道胃腸外科学 --> 多くの消化器がんで免疫チェックポイント阻害薬(ICI)を用いた新規治療が導入されるようになり、治療成績は飛躍的に向上した。一方で、治療継続を阻む免疫介在性有害事象(imAE)(図)が課題として浮上しており、その管理法の確立が求められている。しかし、薬剤反応性は患者の体内環境や遺伝的背景、プロトコルによって異なるため、imAEの発生予測は困難である上、症状は消化器系に限らず多臓器に及ぶ。そのため、実臨床では各医療機関が手探りでimAEに対処しながら、経験を積み重ねているのが現状である。本セッションについて、司会を務める中本安成氏は「実臨床におけるICIの治療効果、imAEの経験、最新の研究成果について、がん種横断的に共有することを目的に、11人に登壇していただく予定だ。実臨床における貴重な経験やデータの集積を通じて、imAE管理の最適化について活発に議論したい」との意向を示す。 図. ICI治療に伴うimAEの発生機序 (中本安成氏提供) 基調講演で川上氏が全体像を概説 本セッションは基調講演と10演題で構成されている。基調講演では、川上尚人氏が消化器領域におけるimAEの全体像を概説するとともに、胆管炎と大腸炎に関する研究成果やimAE診療の臨床応用について紹介する。 演題の第1席は横出正隆氏で、ICI関連大腸炎と潰瘍性大腸炎(UC)の類似点、抗インテグリンavβ6抗体同定に基づくICI関連大腸炎の新たな診療体制構築の試みについて発表する。続いて宮本英明氏は、甲状腺関連imAEの発生リスクを予測しうる新規の一塩基多型(SNP)を同定した研究について報告する。 imAEの中でも頻度が高い臓器障害である下痢および大腸炎に関し、森川亮氏はimAE下痢/大腸炎診療における非侵襲的バイオマーカーの意義を検討した結果を発表する。また、まれではあるものの、重要な合併症の1つであるimAE膵炎ついて、中島悠貴氏は日本の多施設から収集した画像所見および病理所見を含む臨床データを分析し、明らかになったimAE膵炎の臨床的特徴について報告する。 imAE管理の知識があれば、長期かつ多量のICI投与が可能に ICI治療はさまざまな臓器がんに適応されることから、imAEは多診療科において発生する可能性があり、病院全体での対応策が欠かせない。小林真理子氏は、自施設におけるimAEワーキンググループと医療安全管理部の連携によるimAEの集約的治療体制について紹介する。 平田翔一郎氏はimAE消化管障害の危険因子および予後不良因子についての検討、また飯島徳章氏はimAE胆管炎および膵炎の臨床的特徴と危険因子を検討した後ろ向き研究、水野和幸氏は重症imAEの発現時期と種類が予後に及ぼす影響の後ろ向き検討について、それぞれ結果を報告する。 消化器関連imAEについては診療体系が確立しつつあるが、臓器ごとに特徴が異なるため、臨床病態については議論の余地が残る。赤澤悠氏は、消化器関連imAE発症の危険因子および長期予後への影響について発表する。 最後の演題では、對田尚氏がimAE腸炎に対するステロイド治療介入の必要性を判断しうる評価方法として、新規に開発された内視鏡画像強調技術(IEE)であるRed Dichromatic Imaging(RDI)の有用性についての検討を解説する。 中本氏は「従来ICIは、大学病院など専門性の高い医療機関で限られたがん種に対してのみ使われていたが、現在はさまざまな臓器に適応が拡大され、ICI治療を行う医療機関は増えている。imAEの知識を身に付けることで、より長期かつ多量のICI投与が可能となり、高い治療効果が期待できる。また、国民の2人に1人ががんに罹患する時代においては、自らがICI治療を行わなくても、実臨床でimAEの患者に遭遇する可能性は十分に考えられる。大学病院や専門病院に限らず、一般病院、クリニックの医師にも広く参加していただき、imAE管理の知識を深めてもらいたい」と呼びかける。 表. 本セッションの見どころ (田中直樹氏提供) --> ※本記事の内容は取材時点での情報です。当日に変更となる場合があります。 MTウェブJDDW2025 TOP JDDW2025公式サイト 第68回日本消化器病学会大会 [会長]海野 倫明東北大学大学院 消化器外科学 第112回日本消化器内視鏡学会総会 [会長]石原 立大阪国際がんセンター 消化管内科 第30回日本肝臓学会大会 [会長]波多野 悦朗京都大学大学院 肝胆膵・移植外科 第24回日本消化器外科学会大会 [会長]上野 秀樹防衛医科大学校 外科 第64回日本消化器がん検診学会大会 [会長]三上 達也弘前大学大学院 先制医療学