肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方を改訂

PCV21の薬事承認を受け、日本呼吸器学会

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 日本呼吸器学会は昨日(10月1日)、20価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV20)に加え、21価PCV(PCV21)が国内で薬事承認されたことを受け、65 歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方(第7版)(以下、「考え方」)を公式サイトに掲出した。(関連記事「高齢者の肺炎球菌ワクチン、接種率向上の鍵は?」「肺炎球菌ワクチン、主役はPCV20に」)

PCV21が任意接種として使用可能に

 肺炎球菌ワクチンをめぐっては、昨年(2024年)10月からPCV20が小児定期接種ワクチンとなり、今年(2025年)7月4日に開催された第30回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会において、PCV20が高齢者定期接種ワクチンとして位置付けられる方針が決定。8月にPCV21が、高齢者または肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる成人に対して薬事承認された(関連記事「21価肺炎球菌結合型ワクチン『キャップバックス筋注』が承認」)。

 今回の「考え方」では、高齢者への肺炎球菌ワクチンの定期接種として「PCV20を使用することに合意が得られた」と明記。PCV21については今後、検討予定としている。

 9月以降の接種について、23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(PPSV23)未接種者に対しては「任意接種としてPCV20またはPCV21の接種、あるいはPCV15-PPSV23の連続接種も考えられる」とし、「高齢者におけるPCVの利用が拡充されたことから、PPSV23接種後の同ワクチンの再接種を原則として選択肢としない」と明記した。

 また、PPSV23既接種者にはPCV21の選択肢を追加。PCV13の既接種者は「接種後1年以上の間隔を置いてPCV20を接種」、PCV13、PCV15あるいはPCV20の既接種者は「接種後1年以上の間隔を置いてPCV21を接種」可能としている。

 侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)患者に併存する頻度の高い基礎疾患を有する者や免疫不全状態の肺炎球菌感染症高リスク者に対しては、「重症度に応じてPCV20またはPCV21の接種、あるいはPCV15-PPSV23の連続接種を検討することが望ましい。また、免疫不全状態の患者にはPCV20またはPCV21、あるいはPCV15-PPSV23の連続接種が推奨される」とした。

 最後に、PCV21の安全性および優れた免疫原性に触れ「今後、PCV21は任意接種ワクチンとして使用が可能になる。PPSV23による定期接種は、引き続き65歳の者及び60歳以上65歳未満で日常生活が極度に制限される基礎疾患を有する者等を対象として、医学的観点から接種勧奨することが求められる」とまとめている。

(編集部・小暮秀和)

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