今年(2025年)9月19〜20日、パシフィコ横浜ノースで第31回日本摂食嚥下リハビリテーション学会が開催された。企業展示ブースには多職種の医療従事者が集まり、活況を呈した。 発声、嚥下を支える革新技術 医療機器分野では、患者のQOL向上に直結する製品が注目を集めた。コロプラストは、最新の人工鼻「プロヴォックス ライフシリーズ」を展示。喉頭摘出により声を失った人が気管と食道をつなぐシャント孔に当製品を留置することで、呼気を利用して食道壁を振動させ、再び発声ができるようになる。 高研は、「気管カニューレシリーズ」「ネオボイス」を紹介した。中でも「ネオボイス」は、内筒の代わりに閉鎖板で側孔を開閉する特殊な構造を採用した発声用カフ付きカニューレで、独自の構造により十分な内径を維持したまま気道を確保できるという特徴を有する。HOYAは「ペンタックス 鼻咽喉ファイバースコープ」を展示。ベッドサイドなどでも嚥下機能の観察を可能にする点が来場者の注目を集めていた。 多様な食形態で「食べる」を支援 食品分野では、食形態のバリエーション豊富な製品が際立った。ニュートリーは、「The journey to oral intake」をテーマに幅広い製品シリーズを展示。日本摂食嚥下リハビリテーション学会が食形態を分類した『嚥下調整食学会分類2021』に沿ったラインアップが注目を集めていた。中でも、pHの低下によって液体から半固形へと物性が変化する粘度可変型栄養食品「マーメッド」や、安定したとろみを自動で提供する「とろみ自動調理サーバー」に関心が寄せられた。 アサヒグループ食品は、9月29日に発売された新ブランド「まんぷく日和」と口腔ケアシリーズ「オーラルプラス」を披露した。「まんぷく日和」は、おいしさと食べやすさを両立させた全37種類の豊富なラインアップを備えた介護食で、「食べる喜び」と幸福感の醸成に貢献することを目指す。 スマホやタブレットで遠隔管理可能 IoT・DXの進展は、在宅医療や地域包括ケアの現場にも大きな変化をもたらしている。三栄メディシスは、携帯型マルチヘルスモニター「Checkme」および連続遠隔監視システムを展示。同製品は心電計やパルスオキシメータとしての使用が可能で、手のひらサイズで持ち運びが容易。測定データはBluetooth経由でスマートフォンやタブレットに転送され、医療従事者が遠隔で閲覧できることから、患者の状態変化の早期発見に貢献するものと期待されている。 (第31回日本摂食嚥下リハビリテーション学会取材班)