9月12~13日、ザ・プリンスパークタワー東京で日本スポーツ整形外科学会2025が開催された。企業展示ブースではスポーツ整形外科領域における新製品が数多く紹介され、主要テーマとして「処置の効率化」と「患者中心の取り組み」が浮き彫りになった。 効率化につながるAI技術と新素材 サムスン電子ジャパンの超音波診断装置「V5」は、人工知能(AI)により11カ所の神経位置の自動検出・トラッキングが可能。さらに、神経ブロックなどのインターベンション時に針の位置を明確化する機能を備えるなど、術者ごとの経験差を補い、安全で効率的な処置を支援する。 持田製薬はスポーツなどで損傷した関節の軟骨の治療に用いる修復材「モチジェル」を展示(2025年7月に製造販売承認を取得)。移植軟骨柱や細胞を必要とせず、約5分で固まるため低侵襲かつ短時間での手術が可能となる(関連記事:「国内初!吸収性軟骨再生用材料の承認取得」)。 一方、患者中心の製品群も関心を集めた。ジョンソン・エンド・ジョンソンの縫合糸「DYNACORD」は独自のSelf-Tensioning技術により、回旋腱板修復術などにおける修復部位の安定的な保持が期待されている。アスピシャスが紹介した歩行分析システム「AYUMi EYE」は、歩行機能をスコア化し、術後リハビリテーションの評価指標として利用できるとともに、患者のリハビリ意欲向上をサポートする。 あるブース担当者は「スポーツ整形外科領域において処置時間の効率化と患者中心の発想は両輪であり、現場の医師にとっても患者にとっても実利的な価値がある」とコメントした。 (日本スポーツ整形外科学会2025取材班)