薬包表記の不統一で5倍量のカロナールを投与

粉砕調整された持参薬の備考欄見落とし事例

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 日本医療機能評価機構は昨日(11月17日)、医療事故情報収集等事業「医療安全情報No.228 粉砕調製された持参薬の過量与薬」(以下、安全情報No.228)を公式サイトに掲出。入院患者が持参したアセトアミノフェン(商品名カロナール)を投与する際、薬包に印字された「カロナール錠200 200mg」を1包当たりの薬剤量と勘違いし、正しくは1回1,000mgのところを5包(5,000mg)胃瘻から注入する過量投与事例が発生したとし、関係団体に確認と周知を依頼した。(関連記事「定数配置薬からの投与、アレルギーの確認を」)

薬剤師が持参薬報告書の備考欄に記載も、看護師が見落とし

 今回の事例は、調剤薬局がアセトアミノフェンを粉砕調整した際、薬包に使用している医薬品マスターの品名である「カロナール錠200 200mg」が印字されたことに起因するもの。

 薬剤師は持参薬報告書の備考欄に「1包=5錠=1000mg」と記載したが、看護師は確認していなかった。そのため「1包当たりの薬剤量が200mg」と思い込み、5包(5,000mg)を胃瘻から注入してしまった()。

図. 事例のイメージ

(安全情報No.228より)

同様の事例が報告されるも再発

 同様の事例は、2021年1月1日~25年3月までに2件報告されている。1件は今回と同様に「カロナール錠200 200mg」と印字された持参薬を5倍投与したもの。もう1件は、エベロリムス(商品名サーティカン錠)の薬袋に「サーティカン錠0.25mg 朝4錠、夕3錠」と印字され、薬包には「朝食後サーティカン錠」、「夕食後サーティカン錠」と印字されており、1包当たりの容量は朝食後が0.25mg 4錠分(1.0mg)、夕食後が0.25mg 3錠分(0.75mg)だったが、誤って朝4包、夕3包投与してしまったもの(医療事故収集等事業「第81回報告書」)。

 安全情報No.228では、①薬包の表記は医療機関や薬局によって異なる②粉砕調製された持参薬を使用する際は、薬包1包当たりの薬剤量を確認する-ことを周知し、自施設に適した取り組みを行うよう呼びかけている。

編集部・関根雄人

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