リクシアナ、キイトルーダに重大な副作用追記

アルギニン含有注射製剤のアナフィラキシーも

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 厚生労働省は本日(1月29日)付で医薬局医薬安全対策課長通知(医薬安発0129第1号)を発出し、添付文書の「使用上の注意」の改訂を指示。主なものとして直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)のエドキサバン(商品名リクシアナ)は「重大な副作用」の項に「血小板減少症」を新設、PD-1阻害薬のペムブロリズマブ(キイトルーダ)については「重大な副作用」の項に「膵外分泌機能不全」の追記を求めている。その他、アルギニン含有注射製剤に対しては、「アナフィラキシー」に関する追記を指示している。(関連記事「使用上の注意改訂:SGLT2阻害薬など」)

エドキサバン: 国内で因果関係が否定できない血小板減少症が6例

 エドキサバンについては、従来の添付文書に「その他の副作用」として血小板数減少(頻度不明)の記載があった。今回、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の副作用等報告データベースの登録症例を対象に血小板減少症関連症例について評価したところ、国内で29例の集積(薬剤との因果関係が否定できない症例6例)を確認。専門委員会の意見を聴取し検討した上で、「重大な副作用」の項に「血小板減少症」を新設することが適切と判断した。

ペムブロリズマブ:海外で因果関係が否定できない膵外分泌機能不全が7例

 ペムブロリズマブについては、膵外分泌機能不全の症例を評価した。その結果、国内症例の報告はなかった一方で、海外症例が12例(薬剤との因果関係が否定できない症例7例)確認された。死亡例はなかったものの、専門委員会の意見聴取などを踏まえ、「重大な副作用」の項に「膵外分泌機能不全」の追記が適切と判断した。

アルギニン含有注射製剤:アナフィラキシー症例が複数報告

 アルギニン含有注射製剤については、複数の製品で因果関係の否定できないものを含むアナフィラキシー症例の集積が確認された。専門委員や関連学会を加えた検討の過程で、アルギニンがマスト細胞を直接刺激してヒスタミンなどの化学伝達物質を遊離させる可能性(J Allergy Clin Immunol 2016; 138: 700-710)が指摘されたことを受け、「重大な副作用」の項にアナフィラキシーの記載がない製品を調査対象とした。しかし、その後の専門協議において①マスト細胞を直接刺激する機序は仮説にすぎない、②高浸透圧製剤の静脈内投与に起因する可能性がある、③アルギニンは体内でも生合成されるため、現時点でアナフィラキシーを誘発しうるかは明確でない-と判断。アルギニン含有注射製剤を一律に措置対象とするのではなく、各製品の副作用症例の評価に基づき、下記の通り決定した。

ブドウ糖7.5%加アミノ酸製剤(商品名プラスアミノ輸液、ツインパル輸液)、L-アルギニン塩酸塩(アルギU点滴静注、アルギニン点滴静注):①「合併症・既往歴等のある患者」の項に「本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者」を追記、②「重大な副作用」の項に「アナフィラキシー」を新設する

●アミノ酸・糖・電解質・ビタミンB1液(商品名ビーフリード輸液):①「合併症・既往歴等のある患者」の項に「本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者(チアミン塩化物塩酸塩に対し過敏症の既往歴のある患者を除く)」を追記、②「重大な副作用」の項の「ショック」に「アナフィラキシー」を追記する

  詳細は、厚労省の「医薬安発0129第1号」を参照されたい。

編集部・関根雄人

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