2025年6月20日~22日にパシフィコ横浜で第68回日本腎臓学会が開催された。活気あふれる企業展示の中から、特に注目の最新トピックスをご紹介する。 空間解析「Visium HD」で病態を可視化 新規の医療技術として、CyberomiX社が受託解析サービスを提供する空間トランスクリプトーム解析技術「Visium HD」が注目を集めた。腎組織内の遺伝子発現を空間的に可視化し、がんの浸潤状況や治療前後の比較を可能にするもので、治療への貢献が期待されるという。 治療薬に関しては、ノバルティスファーマが今年5月にC3腎症への適応が拡大された経口補体B因子阻害薬イプタコパン(商品名ファビハルタ)を紹介。C3腎症は若年者にも発症する希少疾患であり、新たな治療選択肢として多くの医師が関心を寄せていた。 慢性腎臓病(CKD)に用いられるSGLT2阻害薬エンパグリフロジン(商品名ジャディアンス)を有する日本ベーリンガーインゲルハイムは、心腎代謝連関の概念について展示。CKD治療において、腎臓だけでなく全身を包括的に管理することの重要性を改めて強調した。 他にも、バイオジェンがループス腎炎などへの応用が期待される抗CD38抗体の開発動向を紹介するなど、新たな治療法への期待がうかがえた。 今回の展示では、最先端の解析技術から新薬まで、腎臓病診療の明るい未来を予感させるトピックが目立った。各企業の担当者らからは「技術革新を通じてこれまで選択肢が限られていた患者さんに新たな治療届けたい」「今後も当社の製品を通じて医療に貢献していきたい」といった声が聞かれた。 (第68回日本腎臓学会取材班)