厚生労働省は、7月24日に開催した薬事審議会医薬品第二部会でMEK阻害薬トラメチニブ錠(商品名メキニスト錠0.5mg、2mg)について、がん化学療法後に増悪した低異型度漿液性卵巣がんの公知申請に関する事前評価を実施。公知申請を行っても差し支えないとして、同日付で保険局医療課長通知(保医発0724第2号)、医薬局医薬品審査管理課長と医薬安全対策課長の連名通知(医薬薬審発0724第2号、医薬安発0724第4号)を発出し、関係各所に周知した(関連記事「アネメトロ、公知申請で小児感染症への適応追加」)。今回の公知申請は、日本臨床腫瘍学会、日本婦人科腫瘍学会、卵巣がん体験者の会スマイリーが行ったもの。 企業見解と欧米での使用実績に鑑み判断 トラメチニブ錠の現行の効能効果は、BRAF遺伝子変異を有する①悪性黒色腫、②切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん、③再発または難治性の有毛細胞白血病、④低悪性度神経膠腫、⑤標準的治療が困難な進行・再発の固形腫瘍(結腸・直腸がんを除く)。 公知申請の妥当性について、製造販売元のノバルティス ファーマは、国内外の臨床試験(GOG281/LOGSおよびNCCH1901)、診療ガイドライン、公表文献などに基づき、トラメチニブは遺伝子変異型にかかわらず、がん化学療法後に増悪した低異型度漿液性卵巣がん(腹膜がん、卵管がん、卵巣がん)に対する有効性が期待できる、低異型度漿液性卵巣がん患者において新たな安全性シグナルは認められない旨の企業見解を提出。 昨年(2024年)9月27日に開催された第60回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議では、先述の企業見解に加え国内外の臨床試験で認められた有害事象はおおむね日本の添付文書で既に注意喚起されている事象である。 米国では2013年、欧州では2014年に承認されるなど使用実績が蓄積されていることから、医療上の必要性の基準に該当すると判断された。 今回の公知申請により、「通常、成人にはトラメチニブとして2mgを1日1回、空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する」が追加された。 なお注意事項として、①トラメチニブの手術の補助療法における有効性および安全性は確立していない、②他の抗悪性腫瘍薬との併用について、有効性および安全性は確立していない-ことの周知徹底も合わせて依頼している。 (編集部・関根雄人)