近年、心不全発症後の心臓リハビリテーション(心リハ)の実施方法として、在宅などで行う遠隔心リハへの関心が高まっており、今年(2025年)6月23日には遠隔心臓リハビリ用プログラム「リモハブ CR U」が医療機器承認を取得した。開発元である株式会社リモハブは、第31回日本心臓リハビリテーション学会(7月19~20日)で同プログラムを含む複数の医療機器で構成されるCR-01による遠隔心リハのデモンストレーションを実施。オンラインによる最新の遠隔心リハの実演に多くの聴衆が集まった。 最大8人の心リハを同時に実施可能 CR-01は、医療施設側のアプリケーションであるリモハブ CR U、サイクルエルゴメータ「リモハブ cycle+」(医療機器)、患者が装着するウエアラブル心電計「リモハブ rhythm+」下に遠隔心リハを行う仕組みで、患者は外来心リハと同様の運動処方や指導を在宅で受けることができる。同サービスでは最大8人まで同時にモニタリングすることができ、デモンストレーションでは、会場スタッフ2人と同社大阪オフィススタッフ1人を患者役として、同時に人の遠隔心リハの実演が行われた。 写真1. デモンストレーションの全体像(左)、リモハブ rhythm+(右) 画面上に情報を一元化、モニター1つで患者状況を全て把握 患者が運動に使用するリモハブ cycle+には、リアシート付きと付かない2つのタイプがあり、自宅の広さに合わせて選択・設置できる。また、備え付けのタブレット画面には患者用アプリケーションが搭載されており、患者は表示されたナビゲーションに従って進めていくことで簡単に心リハを行える(写真2)。運動療法に不慣れな場合は、見本動画を参照することも可能だ。 写真2.リモハブ cycle+(リアシート付き) 医療者側のモニターには、血圧や患者が装着したリモハブ rhythm+を介し心拍数、心電図波形などのバイタルがリアルタイムに表示される。また同一画面上で、ウエブカメラによる運動中の患者動画や進捗状況を示すステータスバーが確認でき、医療者は画面移動や切り替えの手間なく、1つのモニターだけで患者状況を全て把握できるようになっている。さらに、ビデオ通話による患者との会話が可能で、デモンストレーションにおいても、ビデオ通話を介して医療者役が頻回に患者役に声をかけ、服薬や食事、身体状況などリハビリ以外も含めたさまざまな話題を交わし、コミュニケーションを取る様子が印象的であった。 リハビリの開始時は、血圧や体重などデジタル問診の他、緊急時に備えて家族が在宅しているか、近くに電話を設置しているかなどの確認事項も入力し、安全の確保が図られている。有酸素運動は、ピッチ音に合わせることで既定の運動量を満たせるようになっており、患者が自覚的な運動強度をタブレット上のボルグ指数(ボルグスコア)を選択する画面に入力することで、医療者は運動強度が適正かどうかを確認することができる。リハビリ終了時には、医療者と患者の画面上に次回の予約日時が提示され、両者で認識を共有できる。 デモンストレーションでは、運動中の患者観察やモニタリングなどが全てスムーズに進み、ビデオ通話ではきめ細かな指導やコミュニケーションが行われ、外来心リハと遜色ないリハビリが完遂されていた。心リハの実施において、通院は大きな障害の1つになっている。こうした背景から、通院の負担が軽減できる遠隔心リハの普及が強く望まれており、リモハブ CR Uは遠隔心リハの主要な手段として、今後の心リハを大きく前進させる可能性を秘めているだろう。 (編集部・山路唯巴)