2025年8月8~9日、幕張メッセで第37回日本神経免疫学会が開催された。企業展示ブースでは、重症筋無力症(MG)、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)、視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)といった希少神経疾患領域に関する製品が紹介された。各社は製品情報の提供にとどまらず、患者体験向上を見据えた支援施策や疾患啓発の新たなアプローチを展示し、来場者の注目を集めた。 人気アニメと連携し希少疾患を啓発 ユーシービージャパンは、同社の全身型MG(gMG)治療薬抗FcRn抗体ロザノリキシズマブ(商品名リスティーゴ)に関連し、個宅配送(2025年4月より開始)を含む患者支援プログラム「ONWARD」を紹介。アプリでの症状記録やチャット相談機能と組み合わせ、患者の通院負担軽減や治療継続支援を目指す。 アルジェニクスは、2024年12月にCIDPへの適応が追加された抗FcRn抗体エフガルチギモド アルファ・ボルヒアルロニターゼ アルファ配合皮下注製剤(商品名ヒフデュラ)について、患者向け症状記録アプリ「CIDPノート」を紹介した。なお、同薬は今年5月に投与期間制限が解除されている。 アレクシオンファーマは、gMG、NMOSDの再発予防などに適応を有する同社の抗補体(C5)抗体ラブリズマブ(商品名ユルトミリス)に関連し、アニメ「はたらく細胞」と連携した啓発動画を展示。「補体の役割」や「再発リスクの高さ」をキーメッセージに、NMOSDへの理解促進を図っていた。 さらに、医療機器メーカーのテルモBCTは血漿交換療法に用いる遠心型血液成分分離装置「スペクトラ オプティア」を展示。神経免疫疾患への低侵襲治療としての有用性を、海外事例を交えて紹介していた。 各社の展示からは、希少疾患領域において、薬剤の特性や医療機器の訴求にとどまらず、患者中心のケアを重視する姿勢がうかがえた。 (第37回日本神経免疫学会取材班)